トランプ米大統領、高齢者の航空機利用制限の方針を却下

ホワイトハウスに集まった記者の前でコロナウイルス対策の歳出法案に署名するドナルド・トランプ大統領(Photo by Evan Vucci/AP/Shutterstock)

米ホワイトハウスは、コロナウイルス対策の一環として米国疾病管理予防センター(CDC)が打ち出した航空機の利用制限の方針を却下したという。しかしホワイトハウス側は報道を否定している。

ホワイトハウスは政府によるコロナウイルス対策プランから、高齢者や身体的に脆弱な米国民による民間航空機の利用制限を促す文言を削除するよう命じた。

米国疾病管理予防センター(CDC)が作成した原案を入手したAP通信によると、削除の理由は不明だという。しかしホワイトハウスは報道内容を否定している。マイク・ペンス副大統領の報道官ケイティ・ミラーは2020年3月7日に投稿したツイートの中で、「事実とは全く異なります。AP通信の報道は正体不明の個人からの情報です」とし、さらに「記事は完全にフィクションです。タスクフォースに対して政府から勧告した事実はありません」と述べている。

政府の保健担当責任者のひとりであるアンソニー・ファウチ博士もまた、出演したFOXニュース・サンデーの中で、政府による介入の報道を否定した。

しかし、米国内におけるコロナウイルスの感染規模を過小評価し続けるトランプに対し、ファウチ博士は司会者のクリス・ウォレスに「明らかに感染は加速している。調べてみれば、日々増え続けていることがわかる」と証言している。

ニューヨーク・タイムズ紙の新たな報道によれば、コロナウイルスに対する懸念が高まるにつれホワイトハウスは混乱状態になり、「政府の対応に国民はどう反応するだろうか」とか「大統領はどう考えているだろうか」といった議論がそこかしこで交わされているという。

もちろんトランプは同紙の報道に対し、「ホワイトハウスでは、コロナウイルスに対する完璧にまとめられたきめ細かいプランを立てている。我々は特定地域からの入国制限を“とても”早い段階で実施した。奇跡的な対応だ。副大統領はよくやってくれている。フェイクニュースを流すメディアは、政府の対応を悪く見せるために必死だ。嘆かわしい!」とツイートで反撃した。

嘆かわしいのはむしろ、国民に対して会見やツイートでコロナウイルス危機は真実でないなどと語っている大統領の方だ。トランプの嘘は全米を危険に晒している。

Translated by Smokva Tokyo

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE