“ウチの親父の世代は、終戦後に民主主義と自由を謳歌したんだよね”(Char)
Photo by Keisuke NagoshiChar : 竹中家にギターが伝来したことで、兄貴はどんどんロック少年になっていって。兄貴はもうバイトもできたからアルバムだって買えるわけよ。でもオレも同じ部屋にいても、ステレオは触らせてくれないわ、ラジオもチャンネルを変えちゃいけない。
立川 : いわゆる兄貴シフトね(笑)。その頃お兄さんはFEN(※ 「Far East Network」。米軍が放送していたラジオ)を聴いてた?
Char : FENは親父が聴いてたよ。いつも枕元にトランジスタラジオがあって、英語が聞こえて。
立川 : あの頃のFEN(視聴可能エリア)って広かったよねえ!
Char : 横浜、広島の呉とか。
立川 : 青森とか佐世保も。あのFENが入ったエリアはなんか“別枠”だった。
Char : ウチの親父は外国に戦争に行って敗戦して帰国してきたから、帰ってからはたぶん民主主義と自由を謳歌したんだよね。おふくろとは新橋のダンスホールで出会ったらしいし。映画も音楽もそうだけど、みんなそれまで禁止された英語の、洋モノの方に一気に行ったんだと思う。
立川 : あの頃ってたぶんハンフリー・ボガードとか、ジェームス・ディーンのくわえのタバコとかの写真に憧れた時代だよね。
Char : そうそう! 洋モクね。でも親父たちの世代に一番衝撃だったのはマッカーサーかもしれない。
立川 : だろうね。コーンパイプくわえて飛行機から降りてきたんだもん。
Char : そのせいかウチの親父はずっとパイプだった。だから俺が高校の頃にロンドンに行くことになった時も、「お前ロンドンに行くんだったら、買ってきてもらいたい形のパイプがあるんだ」と。おかげで俺はロンドン中でどんだけ探したか!(笑)。結局なんとか見つけて、それを今も形見に持ってるよ。