──聴いていると…… 変な言い方だけど、音楽をやっているのが楽しい、ということが伝わってくる楽曲になっているというか。
いや、本当にそうじゃないですか? DOPING PANDAも、インディーの頃は、楽しいかどうかもわかんないところからスタートして。で、メジャー・デビューして楽しそうになって、サードぐらいからどんどん苦しそうになっていくんですよ(笑)。だから、山と谷が、僕のキャリアにちゃんとあるなと思っていて。それで今、山に向かっているところなんだな、と思ってますけどね。
──「Yesterday Today Tomorrow」という、2つ前のアルバムと同じタイトルの新曲を、今になって書こうと思ったのは?
これ、歌詞を、ジョシュ・ワッツっていうイギリス人の作詞家の友達と書いていて。最初に、今の自分から過去の自分への手紙みたいな内容の詞にしたい、っていう話をしたんですよ。それで、話しながら作っていったら、結局手紙みたいにはならずに、未来と過去を見据えている現在の自分が、大人になって、苦しんでるけど、人生はそういうものだよ、みたいな歌詞になったんです。けっこうサラッと書けたんですけど、最後に「タイトル付けなきゃね」ってなった時に、いいのが思いつかなくて。っていうか、ジョシュが「When I」って仮タイトルを付けていて、「すっごいいいタイトルじゃん!」って言ったら、「そうなんだけど、すっごい売れてる曲と同じタイトルなんだ」と。UKのヒップホップの曲と一緒で、「だから、それは俺が恥ずかしいからイヤだ」と(笑)。で、「どうしよう?」ってなってる時に、「“Yesterday Today Tomorrow”なら最高なんだけどね」ってポロッと言ったら、「それでいいじゃん! 前のアルバムのタイトルを持ってきちゃいけない、ってこともないし」って。そうか、逆にいいかもな、と思って。ここまでのソロの4作のまとめが『傑作選』だとしたら、『Yesterday Today Tomorrow』っていうのは象徴的なタイトルになるな、新曲だし、1曲目だし、と。
──でも、時期によっていろいろ状況は違っただろうし、メンタルも違っただろうけど、こうして『傑作選』を通して聴くと、一貫していいメロディを書いてきたんだな、というのは思いますね。
ああ、ありがとうございます。そうですね、思うんですよ、俺はやっぱりメロディだなって。自分の売りは。ループとか、四つ打ちとか、ドーパンの時はいろいろやりましたけど、そこでもメロディは捨てないようにしてたし。