URC50周年ベスト「愛と平和の歌」、世の中と身の周りをテーマにする歌たち

それでは、「愛と平和の歌」残り2曲。東西の横綱と言ってしまいましょう、街の歌でもありますね。友部正人で「一本道」。



16曲目は友部正人さん「一本道」ですね。ギター1本とハーモニカだけでこんなにドラマチック、説得力のある歌が歌えるんですね。「あぁ、中央線よ 空を飛んであの子の胸に突き刺され」というこの一行だけで歴史に残る歌になったと言っても過言でないかもしれないですね。JR中央線の阿佐ヶ谷駅というのは、関西の方にはイメージしにくいかもしれないですが、中央線って本当に真っ直ぐなんです。高架線がずっと続いていて、そのまま進んでいくと空に突き刺さるんじゃないかと思わせてくれる実感がこの歌には籠っておりますね。"あの頃からどれくらい時間が経ったのか"っていう言葉も、50周年ということで聴くとちょっと違う考えがあったりします。歌の最後は幸せな情景で終わっているわけで、お酒を飲める幸せとは何かという歌でもあります。さて、続いて51曲最後の締め括りはこれしかないという歌をお送りします。



今回の選曲を頼まれたときに、僕でいいのであればということで引き受けたのですが、51曲をこの曲で終わるということだけ決めておりました。この曲に向けてどう流れを作っていけるかというのが自分の中でのテーマでした。1970年発売の2ndアルバム『見るまえに跳べ』に収録されておりました、バックははっぴぃえんどです。岡林信康はなぜフォークの神様と呼ばれているのか、この曲があるからと言い切ってもいいかもしれませんね。松本隆さんが、はっぴいえんどでバックをやっていて、あの歌を歌っている時の岡林さんは神だと思ったことがあると言ってたことがありました。“今ある不幸せに踏み止まってはならない、まだ見ぬ幸せに今飛び立つのだ”という2行の歌詞は、時代に関係なくあらゆる状況を引き受けた究極のテーマですね。更に肯定と否定の両方が入ってる。あなたと生きることとあなたを殺すこと、これが望むことの中に入ってるんですね。なぜこの両方が入っているかということを考えていただければと思います。あなたを殺すことが、私の生きることという時もある。相手を殺さないと私が生きられないのだとしたら、この歌はどんな歌になるだろう。岡林さんがこの歌を書いたとき、23歳でした。「愛と平和の歌」17曲目最後の歌、岡林信康で「私たちの望むものは」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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