気候変動問題の敵一覧 人と地球を食い物にしたのは誰だ?

2019年11月8日、夕日を背景に、ニーダーアウセム褐炭火力発電所(独西部・ロッゲンドルフ)の煙突から立ち昇る水蒸気(Photo by Fererico Gambarini/dpa/AFP/Getty Images)

企業CEO、石油業者、投資家、政治家、理論家など、私たちから安定した気候・環境を奪った人々を紹介する。

気候変動は、近い将来の地球上の生活を劇的に変えようとしている。変化の度合いをどの程度なだらかにできるかは、この100年間ずっと大気中に温室効果ガスを撒き散らしてきた行為を、各国政府や企業がどれだけ積極的に是正できるかにかかっている。残念ながら、危機に取り組むどころか状況をより悪化させようとしている悪人たちもいる。以下に、化石燃料業界の大物からカリスマ投資家、さらには大統領自身まで、米国史上最悪の元凶をリストアップする。

化石燃料業界の大物からカリスマ投資家まで:米国史上最悪の14人(写真14点)

・ドナルド・J・トランプ 米国大統領

化石燃料業界の救い主としてのトランプは、米国環境保護庁や内務省の予算を骨抜きにする一方で、両省庁に化石燃料業界の元幹部役員やロビイストらを送り込んだ。彼は広大な公有地を石油・ガス掘削会社へ売り払い、100近い件数の環境規制を撤廃し、年間2億トン以上の炭素ガスを大気中に吐き出すお膳立てを整えた。それでもトランプは自分自身を善人だと言い張っている。「私は環境保護論者だ」と彼は、2019年秋に行われたG7の気候変動問題の会議をすっぽかした後で述べた。「多くの人々はわかっていない。私は他の誰よりも環境について理解していると思う」

・アンドリュー・ウィーラー 米国環境保護庁長官

2018年に環境保護庁(EPA)の実権を握ったウィーラーは、同組織が新たな規制を作る際の科学的データの使用を妨害し、河川や湿地への化学物質の垂れ流しを取り締まる水質保護規制も撤廃した。さらに、カリフォルニア州の排出ガス規制やメタンガス検査を骨抜きにすべく働きかけた。ウィーラーはEPA長官に就任する前は、化石燃料業界のロビイストとして数年間活動していた。「ウィーラーは、規制に反対するワシントンの“闇”を代表する人間だ」と、非営利の市民団体エンバイロンメンタル・ワーキング・グループのケン・クック代表は2018年に述べている。「彼は先を読んで行動している。だからますます危険な人物なのだ」

・ルパート・マードック 世界的メディア王

FOXニュースを創業し、ニューズ・コーポレーションの重役の椅子に座るビリオネアのマードックが構築したメディアネットワークでは、気候変動懐疑論を国内外へ拡散している。彼の生まれ故郷であるオーストラリアを襲い、気候変動の影響で広がった大火災に際しても、マードックのメディアはフェイクニュースを拡散した。例えばオーストラリアン紙は、火災について「よくあること」で済ませている。米国内ではもっと酷かった。FOXニュースは以前から気候変動問題に否定的な立場をとってきたが、2019年だけでも、気候変動科学を「フェイクだ」と言ったり、「地球は時速1700kmで回っているのだから」気候は変わって当たり前だと表現したり、さらに「二酸化炭素を吐いている人間として」温室効果ガスを大気中に排出する行為を悪いこととするのはおかしい、などの発言が聞かれた。

Translated by Akiko Kato

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