気候変動問題の敵一覧 人と地球を食い物にしたのは誰だ?

化石燃料産業へ投資を続けるウォーレン・バフェット

・ロバート・マーサー マーサー・ファミリー財団

マーサー・ファミリー財団を運営するビリオネアのロバート・マーサーと娘のレベッカは、ハートランド研究所やケイトー研究所をはじめとする反気候変動科学を掲げる米国内の有力組織へ大金をばら撒いた。2019年12月に公になった納税申告記録によれば、2018年の寄付額は縮小したものの、フレッド・コークが設立したダークマネー組織のドナーズ・トラストへ800万ドル(約8億7000万円)、オレゴン科学医学研究所へ30万ドル(約3300万円)を寄付している。オレゴンの研究所を設立したアーサー・ロビンソンは「代替科学」のパイオニアで、かつて二酸化炭素レベルの増加は環境にとって「有益な効果」をもたらす、などと発言した人物だ。

・ウォーレン・バフェット バークシャー・ハサウェイCEO

「オマハの賢人」も、気候変動危機に関してはやや先見性に欠ける。ビリオネアの投資家であるバフェットは長期的に化石燃料産業へ投資を続けてきたが、今後も方針は変わらないようだ。2019年に彼は、オクシデンタル・ペトロリウムがパーミアン盆地に持つ石油利権へ10億ドル(約1兆1000億円)を投資した。同地域の1日あたりの産油量は400万バレルで、米CNBC局は「とても信じられない」と表現した。彼は、最優先事項はあくまでも株主の利益であり環境保護ではないと主張することで、気候変動問題に影響する自身の投資を正当化した。それでもバフェットは、気候変動危機に関して「ものすごく重要な問題」と表現している。ご心配いただきありがとう、バフェットさん!

・チャールズ・コーク コーク・インダストリーズCEO

マサチューセッツ大学の調査によると、コーク・インダストリーズは2017年に2500万トン以上の二酸化炭素を大気中へ排出したという。シェブロン、BPや多くの化石燃料の発電所を上回る数字だ。チャールズ(84)と弟のデイビッド(2019年没)は、気候変動危機が大きな問題になるかなり前から気候変動否定論に資金提供を始めた。1991年、チャールズが設立したケイトー研究所は、「地球環境の危機:科学か政治か?」という気候変動懐疑論をテーマにしたカンファレンスを開催した。コーク兄弟は、アメリカンズ・フォー・プロスペリティやフリーダム・パートナーズなどの反気候科学支持組織を設立・支援するなどして、長期に渡り議会による気候変動対策を妨害してきた。著作『コーホランド』の著者クリストファー・レオナードは2019年、ニューヨーク・タイムズ紙に「コーク兄弟は無敵の政治的影響力を持つ組織を使い、政府に温室効果ガス排出を規制するいかなる対策も取らせないように仕向けた」と書いている。

Translated by Akiko Kato

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