気候変動問題の敵一覧 人と地球を食い物にしたのは誰だ?

米国最大の民間石炭会社を率いたロバート・マレー

・マイロン・イーベル 気候変動懐疑論者

イーベルは、気候変動科学に疑問を投げかけることでキャリアを築いてきた(ただし彼自身に科学的なバックグラウンドはない)。特に顕著なのは、コンペティティブ・エンタープライズ研究所のエネルギー環境センターにおける活動だ。同組織は自由至上主義を掲げるシンクタンクで、化石燃料業界から多額の資金援助を受けている。2016年、彼はトランプ大統領の下で環境保護庁における政権移行チームのリーダーとして、オバマ政権時代の政策を潰すためのチームを編成した。例えばオバマの打ち出した画期的なクリーンパワー計画をより緩い規制に置き換えるなど、有害な後戻り策を主張し続けた。

・ロバート・マレー マレー・エナジー創業者

マレー・エナジーの創業者兼CEOとしてマレーは、米国最大の民間石炭会社を作り上げた。年間7600万トンの石炭を生産した同社も、2019年に経営破綻した。しかし彼の影響力は、彼の扱っていた問題の多い環境汚染エネルギーの枠を超えて広がっている。彼は長年に渡り、気候変動危機に関するフェイクニュースを拡散し続ける保守系組織に資金を提供してきた。彼はまた、トランプ政権の気候変動に関わる政策にも大きな影響力を持っていた。マレーは大統領就任式実行委員会へ30万ドル(約3300万円)を寄付し、大統領に規制緩和の要望リストを提出した。その後リストの各項目は、政権によって忠実に実行された。

・マルコ・ルビオとリック・スコット フロリダ州選出上院議員

フロリダ州は、米国の中で最も気候変動の影響を受けやすい地域のひとつと言える。しかし、フロリダ州選出の上院議員らがどのように気候変動問題を自分の利益にしたかは、一般に知られていないだろう。スコットは同州知事時代、公式の報告書上から「気候変動」や「地球温暖化」という文言を削除させた。スコットとルビオの両議員は2019年に気候変動が真実であることを認識し、一歩だけ前進した。しかし二人ともグリーン・ニューディールをこき下ろし、ルビオ議員が言うところの「対処可能な」問題に対する「適応性のある」解決策を推進した。言い換えれば、化石燃料業界の怒りを買わない解決策だ。ルビオもスコットも、気候変動否定組織であるアメリカンズ・フォー・プロスペリティからの支持を全面的に受けている。つまり、コークの後ろ盾を得ているということだ。

・デイビッド・バーンハート 米国内務省長官

トランプ政権の内務省に入ったバーンハートは、採取産業の利益のため忠実に働いた。彼は長い間、化石燃料業界専門のロビイストとしてハリバートンや全米石油ガス協会をクライアントに持ち、活動を続けてきた。2018年、彼は絶滅の危機に瀕するライチョウが生息する900万エーカー(約3万6000キロ平方メートル)の地域で石油の掘削ができるように、土地の保護指定の解除を主導した。さらに最近ではアラスカの北極圏国立野生生物保護区の一部を借地化し、ここでも掘削を可能とした。著しい環境破壊につながる決定に、多くの大手銀行ですら同地域での石油・ガス関連プロジェクトへの資金提供を拒んだ。バーナードのかつてのクライアントでもある米国独立石油協会の幹部らが、バーナードと「直接コンタクト」して「国有地の使用から絶滅危惧種までいろいろ話し合った」ことを自慢する2017年の会話が記録されている。

Translated by Akiko Kato

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