ザ・ストロークスが「ロックの救世主」と謳われた、2003年の1万字秘蔵インタビュー

2001年撮影のザ・ストロークス、左からファブリツィオ・モレッティ(Dr)、アルバート・ハモンドJr(Gt)、ニック・ヴァレンシ (Gt)、ジュリアン・カサブランカス(Vo)、ニコライ・フレイチュア(Ba)(Photo by Anthony PIdgeon/Redferns)


ガレージロックに留まらない音楽性

ザ・ストロークスは単なるバンドではない。自分たちが望む望まざるにかかわらず、彼らは何かを象徴する存在だ。90年代初頭にニルヴァーナがグランジシーンの顔となったように、ストロークスはいわゆるガレージロック・リバイバルにおける主役となった。そしてニルヴァーナと同様に、ストロークスは高級ブランドのデザイナーたちから寵愛されている。それは真摯さの喪失の兆候に他ならない。

実際には、ストロークスはどんなシーンにも属していない。なぜなら彼らは、シーンの住人たちと何の交流も持っていないからだ。バンドのドラマーでアーティストであり、洞察力に優れたファブ・モレッティ曰く、ストロークスは当初ニューヨークのバンドマンたちが積極的に交流し、一緒に酒を飲んだり互いのライブに足を運んだりするようなシーンを作り上げようとしていたという。「でも当時のニューヨークはバンド同士の競争意識が強すぎて、誰もそんな風にオープンじゃなかったんだ」





ガレージロックと括られがちなストロークスだが、2ndアルバム『ルーム・オン・ファイア』においては、ストゥージズやトロッグス等のバンドとの接点は皆無だ。ハモンドによると「オートマチック・ストップ」のレゲエ風ギターは、シンディ・ローパーの「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」を意識しているという。カサブランカスは「ジ・エンド・ハズ・ノー・エンド」での高音ギターのトーンを、ガンズ・アンド・ローゼズの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」になぞらえている。一方で、ギタリストのニック・ヴァレンシはゴスに傾倒しているという。「1枚目のアルバム曲のベースラインの中には、モロにキュアーをパクってるやつもある」彼はそう話す。「あのアルバムを出すべきかどうか迷ったよ。捕まっちまうんじゃないかってビビってたからさ」

ストロークスの代名詞とも言えるブギービートについて、ヴァレンシはこう語っている。「最初のうちは安っぽいダンスを誘発しそうな曲を書こうとしてた。『The Fresh Prince』のカールトンダンスとか、『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』に出てくるダンスみたいなやつをね」

ストロークス結成のきっかけは、クリスマスにベーシストのニコライ・フレイチュアの兄ピエールが、高校生だったカサブランカスにヴェルヴェット・アンダーグラウンドのCDをプレゼントしたことだった。普段からつるんでいたフレイチュア、カサブランカス、ヴァレンシ、モレッティの4人は、その音楽に啓示のようなものを感じ取った。カサブランカス曰く、ストロークス結成時の目標はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような音楽性で大衆性を獲得することだったという。「クールで非メインストリームだけどすごく人気がある、そういうバンドにしたかったんだ」

「ビッグで人気のあるバンドは、なぜ揃いも揃ってダサいのか?」彼はそう付け加える。「俺にはそれが理解できないし、そのセオリーを覆したいんだよ」

Translated by Masaaki Yoshida

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