ザ・ストロークスが「ロックの救世主」と謳われた、2003年の1万字秘蔵インタビュー

2001年撮影のザ・ストロークス、左からファブリツィオ・モレッティ(Dr)、アルバート・ハモンドJr(Gt)、ニック・ヴァレンシ (Gt)、ジュリアン・カサブランカス(Vo)、ニコライ・フレイチュア(Ba)(Photo by Anthony PIdgeon/Redferns)


ファブリツィオ・モレッティの素顔

食事を済ませると、我々は一流ホテル60 Thompsonに向かった。そこのペントハウスのスウィートで、ストロークスは世界各国のジャーナリストたちを前に記者会見を行った。会場ではドイツ人の記者がモレッティとフレイチュアに、「今作と前作の違いは?」等の質問を投げかけている。フレイチュアに後は任せると言わんばかりに、モレッティは質問の途中で席を立った。「ただのアホだな」モレッティはそう言った。

外の階段に腰掛けると、モレッティは物憂げな様子で筆者の質問に答えていった。ガールフレンドのドリュー・バリモアが出演する『The Tonight Show With Jay Leno』を観るからという理由で、タイムリミットは午後11時30分と決められていた。筆者と話している間、彼は膝の上に置いた手で絶え間なくビートを刻み続けていた。考えと発言にリズムを持たせようとすると、いつも手が勝手に動き出すのだという。「あらゆる行為にはカデンツがあるんだよ」彼はそう話し、通りを歩く人々の足元を指差す。「みんな歩きながらビートを刻んでる。ワン・ツー、ワン・ツーって感じでさ。心臓の鼓動だってそうだ。どんなステップにもリズムがあるのさ」

彼が指でリズムを刻むのを嫌がる人も多いという。「友達、彼女、家族、みんなに嫌がられるよ」彼はそう話す。「うるせえんだよこのクソ野郎とか言われる」。元気が有り余っていた高校生の頃、初対面で彼のことを「ちょっとウザい」と感じていたカサブランカスから、自分がそばにいるときは口をつぐむように言われたという。しかし現在のモレッティは、メンバーの中でも穏やかで知的な存在というイメージだ。



取材を終えたモレッティは、『Leno』を観るためにイーストビレッジにあるバンドのオフィスに向かった。一方、Ricky Skaggsのシャツを着たシャイで気ままなフレイチュアはオフィスにやってくるなり、ギャラガとGolden Teeのアーケードゲームのそばにあるソファの上に倒れこんだ。カサブランカスは小中高の各私立学校で、後のバンドメンバーたちと出会った。バンドが本気で成功を目指すようになった頃、フレイチュアはクリスマスに祖母からプレゼントされたベースを真剣に練習し始め、当初はブラーやジャクソン5の曲を弾いていたという。彼はクラスメイトたちとは異なり、両親と兄、兄のガールフレンド、そして義理の妹と一緒に、2Kの小さなアパートで暮らしていた。彼は現在もそこに住んでいるが、今同居しているのは兄だけだ。父親はMacy’sのセキュリティマネージャーだったが、ある出来事で大恥をかいてしまう。その出来事とは、自分の店でルーク・スカイウォーカーの人形を盗もうとした息子のニコライを捕まえたことだった。

ソファに腰掛けたモレッティは、チャンネルを『Leno』に合わせるとボリュームを上げた。バリモアと付き合う上で苦労していることのひとつは、テレビで彼女が誰かとキスをするのを見なくてはいけないことだという。1年以上前にあるコンサートのバックステージで出会った2人は、最近イーストビレッジにアパートを購入した。画面に彼女が映ると、モレッティはもう夢中になっているようだった。「あのブレスレットは母親からもらったんだってさ」彼はそう話す。「ネックレスをあげたのは俺だけどね」

オフィスの外に1台の車が到着した。運転手はバリモアを空港に迎えに行くモレッティを拾いに来たのだが、彼は同番組を最後まで見届けようとした。画面のバリモアはレノに幾つか写真を見せており、そのうちの2枚はモレッティの写真だった。彼女は彼の名前を出したが、ストロークスには触れなかった。自分のことについて話すのが安っぽくて退屈だと思っているのかもしれないと、モレッティは不安げな様子だった。

「プライベートでも彼女はあんな感じさ」モレッティはそう話す。「いつもすごくポジティブで明るい。それが彼女の第一印象だった」

※編注:ファブリツィオ・モレッティとドリュー・バリモアは2007年に破局している。

Translated by Masaaki Yoshida

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