金原ひとみが、小説を書き始めた頃から気になっている「非連続性」への不安とは?

金原ひとみ(Photo by Mitsuru Nishimura)

「私以前、編集の人に『自分のことはゴキブリだと思え』と言われたことがあるんですよ」

タバコをゆっくりと吐きながら、そう言って彼女は笑った。金原ひとみ。20歳の時、デビュー作『蛇にピアス』で第130回芥川賞を受賞し、純文学界にセンセーションを巻き起こしたのは今から16年前。以降は作家としてマイペースに作品を発表しつつ結婚、出産を経験し、6年間のフランス移住生活を経て現在は日本で執筆活動を続けている。

「タバコは1日に10本前後、小説を書く合間に吸いがちですね。子供がいるので家ではもっぱら換気扇の下やバスルームの中で(笑)。帰国してすぐは、喫煙所があまりにも少なくなっていて驚きました。パリは基本的に外なら喫煙OKだし、歩きタバコが当たり前ですからね。日本だと外はもちろん屋内でも吸う場所が限られているから、ほとんど吸えずに帰宅することも多いです」

2011年、原発事故を機に娘2人を連れてパリへ移住した彼女。その時の経験は『持たざる者』(2015年)や『軽薄』(2016年)、そして最新作『アタラクシア』の中にもモチーフとして散りばめられている。フランス語もほとんど話せぬまま勢いでスタートした新生活だったが、それによって彼女の価値観も大きく変わったという。

「日本ではハイブランドの洋服もよく買っていたんですけど、向こうへ行ってからはブランドにこだわらなくなりました。パリではみんなが好きな服だけを買っているんですよ。『似合う服』ではなく『着たい服』を着ているし、他人がどう思おうと関係ない。すごく若者向けのお店で、おばあちゃんが買い物をしているし店員も普通に対応しているんです。自分が着たいものを着て、したいメイクをし、したいことをする。とにかく主体的に生きている姿に刺激を受けました」

そう話す彼女の耳には、たくさんのピアスが開けられている。シックな黒のワンピースとハイヒールブーツに身を包んだその姿は、小説家というよりはまるでロック・アーティストのようだ。

・金原ひとみ(写真5点)

「音楽は大好きですね。帰国してからはフェスにも結構行っています。ちょっと“女々しい”男性視点の歌詞に惹かれることが多いかな(笑)。バンドだとクリープハイプ、SIX LOUNGE、My Hair is Badなどが好き。ピアスは20歳を過ぎた頃から結構、軟骨にもガシガシ開けていくようになりました。最後に開けたのは2年くらい前だったかな。たまに衝動的に開けたくなることがあって」

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