米国最大のインディペンデントプロモーターが語る、コンサート業界の行方

米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された2019年度のOutside Lands Festivalの様子。2日目に出演したチャイルディッシュ・ガンビーノ(Photo by Andy Keilen for Rolling Stone)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、ライブミュージック業界が完全に麻痺してしまっている中、小規模なプロモーターたちがこの危機を乗り越えられるか否かが懸念されている。

Outside Lands Festival、Chase Centerでのコンサート等を企画および運営しているAnother Planet EntertainmentのCEO、グレッグ・パーロフはそういった見方に苛立ちを覚えている。同社はアメリカ最大のインディペンデントプロモーターであると主張する彼は、各地のより小規模なプロモーターが倒産に追い込まれる可能性については認めつつも、AEGとライブ・ネイションという2大巨頭が市場を独占するようになるとは考えていない。「私の考えはむしろその逆です」。パーロフは本誌にそう話す。「この危機が過ぎ去った頃には、大きなビジネスチャンスが生まれているはずです。そういう考え方をしていない人も多いですが」

パーロフによると、Another Planetは現在のところ従業員の解雇や給与の未払いなどを回避できており、同社が今後直面する課題を乗り越えられると確信している。具体的な名前こそ明かさなかったものの、彼は既に複数の団体から全米規模のツアー企画について相談を持ちかけられているという。

あるデータによると、Another Planetが拠点を置くサンフランシスコは早い段階でウイルスのホットスポットとなりつつあったものの、ソーシャルディスタンスの徹底によって感染拡大を免れたとしている。しかし同社のビジネスは既にその影響を受けており、6月までに開催が予定されていた全コンサートを中止または延期したほか、パーロフによると夏に開催が予定されているショーも影響を受ける可能性があるという。同社の最大のイベントであるOutside Landsは、今のところ8月7〜9日に開催される予定となっているものの、大規模なイベント開催の禁止令が撤回される時期が不透明である以上、同フェスの日程変更もあり得る。そんな状況でも前向きでいられる理由について、パーロフが本誌に語ってくれた。

ー過去数週間であなたが経験したことについて教えてください。

すべてのショーを秋頃まで延期しなくてはいけませんでした。今のところ、開催が可能になるのは最短で8月の3週目頃とされていますが、明日にはその見方が変わっているかもしれません。今は何よりも、迅速な意思決定と行動が求められています。コンサート業界はすぐに営業を再開できるようなビジネスではなく、軌道修正には時間がかかります。企画から宣伝まで、コンサートの開催には様々な準備が必要です。今はどこの企業も暗中模索している状況でしょう。

Translated by Masaaki Yoshida

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