失業したウェイトレスやバーテンダーがアダルトライブチャットに注目する理由

利用者はチャットする時間もプライバシーも確保できなくなっている

実際のところ、ライブチャット業界は大変な時期を迎えている。既存のパフォーマーたちは新規参入者との競合に加え、他業種のセックスワーカーとも張り合わなければならない。ネット上はエスコート嬢やポルノ女優などであふれかえっているのだ。さらに、サインフィールド氏はサイトの売上が30~35%増えたというが、すべてのセックスワーカーがそのような状況とは限らない。「顧客も失業中ですし、仮に失業していなくても全体的に経済への不安がありますから、そんなにお金を落としてくれません」とセイジ氏も言う。彼女の顧客には既婚者が多いので、以前よりチャットする時間もプライバシーも確保できなくなっている、とも言った。「つまり、需要減と供給過多の2つが同時に発生しているというわけです」

このように入り組んだ状況にも関わらず、ライブチャットはローコスト・ハイリターンだという考えが人々を業界へ駆り立てている。だが、こうした考えはベテラン風俗嬢を侮辱するだけでなく、真実からも程遠い、とHeidiは言う。「超重労働だってみんな気づき始めたところじゃないかしら」と彼女。「自分で売り込みして、宣伝して、映像を作って、スケジュールを設定する。多分みんなこう思ってたんじゃない? 『WEBカメラの前で一人エッチするだけでいいんでしょ』って」

Heidiいわく、似たような新規参入は2008年の金融危機の際にも見られたそうだ。だが危機が一段落した後もそのまま業界に残った人はほとんどいなかった。今回も経済が立て直されれば、似たようなことがまた起きるだろうと彼女は見ている。「みんなあっという間にいなくなるのよ。思ったほど稼げなくてね」

バフィー自身も、これを身をもって体験した。StreammateとCamSodaというサイトで数週間頑張ってみたが、どちらのサイトでも稼ぐことができず、個人的に顧客を獲得するのも苦労した。一度、顧客になってくれそうなユーザーがコーチを申し出て、彼女に様々な衣装を着用させた。乳房が丸見えの衣装を要求されたので彼女が抵抗すると、男は一銭も払わずに姿を消した。一番大変なのは、自分と同じ境遇のパフォーマーがわんさといる中で、顧客候補者の関心を引くことだと彼女は言う。

「ここまで私はあまり運がなかったみたい。でもだからといって諦めるわけじゃありません」と彼女は言う。「外に出られるようになるまであと6カ月かかるなら、多分これを続けるでしょうね。マッサージのほうがずっと楽でした。それにずっと楽しかった」

・ストリッパーはトップレスで宅配サービス(写真)

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