米シカゴ市長が警鐘、米政府の対応の悪さ「国は一切助けてくれない」

ー今回の危機に立ち向かうため、ライトフット市長は両党の市長をまとめてきました。それは、どのような場面で役に立ちましたか?

まさに思わぬ幸運でした。パンデミック下で市長としての職務を果たすマニュアルなんてありませんから。多くの市長はハリケーン、洪水、地震を経験していますが、今回のようなことは初めてです。

最初に西海岸がウイルスの影響を受けました。ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルとは良好な関係を保ってきたおかげで、彼らが体験していること、取り組み、手順などをこの目で確かめられたんです。それに、「いまだから言える、あの時あればよかったと思うものは何ですか?」と質問することもできます。こうした情報を共有し、知識を活用してウイルスの先手を取ろうとしました。

市長は座って待っているだけではいけない、という現実があります。有権者は、私たちがいますぐ行動することを期待しています。ほかにも、地理という問題にも再び取り組みはじめました。というのも、ウイルスにとって場所なんて関係ありませんから。仕事のために郊外と市内を行ったり来たりする人もいます。市内だけ対策をとって郊外のことは気にしない、なんてばかげています。シカゴでは、地域ごとの「自宅で過ごして命を救おう」計画を実施しています。シカゴには、小さな町のトップにはない資源がたくさんあります。小さな町はシカゴのような大都市の影響を受けますが、その逆もまたしかりです。


ーここから数週間後のシカゴはどうなるでしょう? 市長の緩和計画が功を呈した後の展望は?

ウイルスの特性として、計画を実行してから結果が出るまで少しタイムラグが生じます。「自宅で過ごそう」という指示が全米に出されたのは3月16日ですが、はやくも成果が出ています。ただ、これ以上お話するのは控えさせてください。というのも、2日間のデータは傾向と呼ぶには短すぎますから。できるだけはやく計画を実施し、長い目で見守ることが重要なんです。

私たちは、世界中のほかの国や都市の対策もチェックしています。対策のなかには、私たちなら絶対手を出さない計画があるのも事実です。アメリカは独裁国家ではなく、民主主義の国ですから。アメリカ国民としての現実を踏まえた上で「自宅で過ごして命を救おう」と繰り返し言い続け、自分自身とコミュニティの安全を守る上で個人がいかに重要な役割を担っているかを一人ひとりに教えていかなければなりません。

ひとりの行動が複数の人間に影響を与える新型コロナウイルスは、従来のウイルスとはまったく異なる存在です。健康上のリスクを抱えている人は、今回のパンデミックによってさらにリスクにさらされることになってしまいました。いままで適切な医療を受けらなかった人、あるいはいくつかの持病を抱えている人は、間違いなくもっとも感染リスクが高いと言えるでしょう。


Translated by Shoko Natori

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