cero・髙城晶平×Suchmos・YONCE、2010年代を切り拓いた両雄の視点

サブスク派? 
フィジカル派?

ーリスニング環境の変化についてもお伺いしたいと思います。2010年代は「CDからサブスクへの移行」という大きな転換があったわけですが、そういった時代の動きをどのように感じていますか?

YONCE:髙城さん、サブスク使ってます?

髙城:めっちゃ使ってる。

YONCE:あ、安心した(笑)。

髙城:坂本慎太郎さんとお話する機会があったんだけど、「最近Spotifyでばっかり音楽聴いてて、CDは全然買ってないんですよ」って話したら、「自分で曲を選んでるつもりが選ばされちゃってたりとかしないの?」って言われちゃって(笑)。坂本さんは一切サブスクを使ってないらしくて、「買わないの? CD作ってる人なのに?」って言われて、「だよなあ」って。

YONCE:俺もそれを言われるのが怖くて、さっき聞きました(笑)。

髙城:「作ってる人間なのに」っていうのは本当に思う……まあ、買うものは買ってるんですけどね。CDよりレコードの方が多いけど。


Photo by Masato Moriyama

YONCE:俺も髙城さんと同じで、サブスクで古い音楽を見つけたときとかは、「これはアナログで買っといたほうがよさそうだな」って、アナログを買ったりしてます。そこに関してはちょっと古臭い考えかもしれないけど、フィジカルにこだわりはあるし、ギリギリその味わいを知ってる世代として、自分たちも出し続けたいなと思っていて。

髙城:今の状況がずっと続くとも限らないしね。また揺り戻しも大いにあり得るから、ここで出さなかったことが、後々すごい文化の損失になることだってあるかもしれない。今でいうカセットテープとかレコードみたいに、やがてCDの再評価が来ることは、今までの歴史を見れば絶対にわかることで。もので出すのは絶対にやめるべきじゃないし、やり続けた方がいいと思う。

YONCE:これからは作り手でもCDを毛嫌いする子が増えると思うんですよ。「もの代がかかるのは、金の無駄だから」って。でも、そこは食わず嫌いしない方がいいぞって思いますね。自分たちで作り上げたものが物体として存在してるという事実はかけがえのないものだし、やっぱりフィジカルはなくならない。俺はそこのロマンは守りたい。

Edited by Yukako Yajima

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