史上最強のA&R・近藤雅信、東芝EMI時代の清志郎、渋谷系を語る



田家:もう1曲が大貫妙子さんの「春の手紙」を選ばれて、かなり対照的な2曲。

近藤:この曲も大好きな曲です。

田家:これは1993年の曲なんですが、大貫さんはそれまで1991年までミディレコードにいて、東芝EMIに移籍してきた。その辺りも立ち会われていたりしたんですか。

近藤:そうですね。大貫さんはシュガーベイブも学生時代によく観に行っていたグループで、とても好きだったし、大貫さんがソロになって『Grey Skies』を出したときに、すごくよくできているレコードで、ずっと大貫さんのファンだったんですよ。いつか一緒に仕事ができたらいいなと思っていて。たまたまそういう機会が東芝のときにあって、嬉しかったですね。

田家:この曲はアルバム『Shooting star in the blue sky』に入っているわけですが、小林武史さんがプロデュースしている。

近藤:とてもデリケートなツボを抑えたアレンジで。

田家:それまでは坂本龍一さんが多かった大貫さんが小林さんと組んだっていうのは。

近藤:これは大貫さんのチョイスだったと思うんですね。細かいところは知らないんですけど、当時ディレクターのほうから小林武史さんって話があったとき、とてもいいじゃんと話をした覚えはあります。

田家:小林さんに対してはいつ頃から認識されていたんですか。

近藤:ミディ時代に『テスタ・ロッサ』とかソロ2枚出していて。それは聴いていましたし、小泉今日子さんの「あなたに会えてよかった」のプロデュースだったり、高野寛くんの『RING』でアレンジをしていただいたり、いろんなところでお世話になっていたので、とても理解していました。ちょっと音色は違いましたけど、デイヴィッド・フォスター的な部分も持っている人でしたね。

田家:この曲も近藤さんが自分の作品の中のエバーグリーン的なラインナップの中に入っている1曲だと。

近藤:そうですね。素晴らしいです。大貫さんは、今でもたまにお会いしますけど。

Rolling Stone Japan 編集部

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