史上最強のA&R・近藤雅信、東芝EMI時代の清志郎、渋谷系を語る



田家:1989年1月に発売になりましたTHE TIMERSのアルバム『THE TIMERS』から「タイマーズのテーマ」。これもこちらが選んでおります。近藤さんからこの話も聴かないわけにはいかないなということでお送りしておりますが、1988年に出たRCサクセションの『COVERS』とこのアルバムもおやりになっていた。

近藤:宣伝担当でした。

田家:THE TIMERSは『COVERS』が発売中止になって生まれた覆面バンドだったわけで、『COVERS』のことは最近いろいろな形でお話されていますもんね。何度か話に出てきている東芝EMIの石坂敬一さんがこのときにこのアルバムは素晴らしすぎて発売できないということで、新聞広告を出して。

近藤:出さないって話は当時の宣伝の上長から話があると言われて個室に呼ばれて、実は出せなくなったという話は聞きました。親父が今のJ-POWER、かつて電源開発という会社で原発にも関わっていたので、親父に原発反対の作品をうちの会社で出すみたいな話をしたら、親父は即座に「雅信、それは出せないぞ」って言われて。妙に親父が言ったことがさめざめと覚えています。

田家:『COVERS』とTHE TIMERSの間に、清志郎さんとのやりとりで覚えていることはあります?

近藤:いろいろな思い出がありますけど、当時の事務所の社長さんでたっちゃんっていう人がいて、ボーヤあがりで、勉強中の人だったんですけど、その人に清志郎さんが「ちゃんと自分でお金を稼がなくちゃダメだ」ということを言っていて。こんなこと言うんだーと思って(笑)。

田家:そういう近藤さんが選ばれた5曲目は、清志郎さんの1993年のシングルです。

Rolling Stone Japan 編集部

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