星野源が自宅から語る、「うちで踊ろう」の真意とこれからの過ごし方

「自分にもできる!」から輪が広がる

ー本当におっしゃる通りで、アーティストやクリエイター、一般の方々までプロアマ問わずどんどん反応して、すごい勢いで拡散されていくなかで、それぞれの個性が発揮されているところも素敵だと思ったんですよね。

星野:そうなんですよ。

ーきゅうりにエフェクターを通して楽器代わりにするとか、そんな発想もあるんだなって。


星野:うんうん。でも、大喜利大会にもなるだろうとも思ってたんですよ。音楽を重ねる方向もあれば、面白くする方向もあったりしたほうが絶対にいいと思ったので。バナナマンさんの動画を自分のアカウントで投稿したのも、「音楽じゃなくても、あなたにできることならなんでもいい」っていうのを示したかったから。大泉(洋)さんのもそう。

ー大泉さんのは斬新でしたね。寝癖頭でぼやくだけ(笑)。

星野:僕のほうでピックアップして(インスタの)ストーリーズに載っけているのも「こういう形があるんだ」というのを知ってもらえたら、それまで見ていた人たちに「自分にもできる!」「もしかしたらやれることがあるかもしれない」と思ってもらえる気がしたから。ただ見てるだけでも楽しいし、動画を上げたほうもいいね!を押してもらったりすれば嬉しいですよね。それってWin-Winの関係だし。

ーたしかに。

星野:そもそもの発祥が「ご自由にどうぞ」なので、「全員が自由に楽しむ」というのが条件になってるんですよ。観た人を嫌な気分にさせたり怒りを煽ったりするようなものは論外。僕の歌に重ねた誰かが上げた動画を引用してもいい。そういう根底にあるルールが楽しいから、それが大きな広がりの要因になったのかなと思います。あとはYouTubeの字幕もそう。まさか28言語も訳してもらえるとは思わなかったけど。

ー有志の方々が、歌詞の字幕を翻訳してくれてるんですよね。手話をアップする人もいたり、動画を上げなくても参加する方法がたくさんある。

星野:盛り上がりますよね。

ー実際に今では日本だけでなく、いろんな国の方々が動画をアップしている。こんなふうに国境を超えていくこともできるんだなって、その広がり方にも感動しました。

星野:海外からもいい動画がいっぱい上がってますよね。今はこういう事態になって、世界共通の危機感を持ってるし、この状態にはある種の連帯感がある気がしていて。もちろん大小の違いはあるにせよ、どの国でもどの場所でも、誰もがみんな苦しんでいる。こういう状況を経験しているのは、人類史上でも初めてだと思うんですよ。インターネットだったり気分を共有するためのテクノロジーも整っているから、今までにない一体感が生まれている。

その一体感は悲しかったり苦しかったりする要素が多いけど、だからこそ、一体感によって開通した回線に、面白いものや楽しいものを流せるんじゃないかって予感があって。

ーすっかり当たり前のような感覚になってましたけど、オンラインで繋がることができるのは大きいですよね。そのなかで何ができるのか、どんなふうに楽しめばよいのか。

星野:みんなそれぞれのやり方で発信したり、同じ時間をただ共有するだけで、人は安心しますよね。それこそ、ただ画面に向かってご飯を食べるだけでホッとするものなので。それは大きいですよね。

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