The 1975も魅了した日本人、リナ・サワヤマが発信する歪んだ社会へのメッセージ

家族とアイデンティティ、イギリスで育った日本人として

―今回リナがDazed BeautyのBen Dittoと共作したアルバムジャケットは、まさに日本人女性のステレオタイプからは大きく外れたものになっていますね。

リナ:今回のジャケットは、日本人であることを示しながらも、未来的なものを目指しました。「未来的」といっても、たとえば『マトリックス』みたいなものではなくてね。そういう表現はすでに他のアーティストたちがたくさんやってきているから。まったく新しいビジュアルで、人間的だけど、ちょっぴりエイリアンっぽい感じを作りたいと思いました。

―メイクアップも髪型も、とっても素敵です。

リナ:でしょ? 超クールだよね。メイクアップはAna Takahashi、ヘアーはYusuke Moriokaがやってくれました。どちらも素晴らしいアーティストで、UKで活動しています。ロンドンには、日本人のメイクアップアーティストやヘアーアーティストが多くて、成功してる人もたくさんいますよ。

―1st EPのタイトルは「Rina」で、今回のアルバムは「SAWAYAMA」ですが、日本の名前を背負いながらイギリスで生きてきたリナにとって、自分の名前というのはどういうものなのでしょう。

リナ:「Rina」は、欧米人としての私を表しているように思うんです。欧米人にとって「Sawayama」は発音しづらいけど、「Rina」は発音しやすいから。それに、今回のアルバムはファミリーについて書いたところが大きいから、自分の名字を使いたいと思ったんです。



「Paradisin’」では、リナがティーンネイジャーだったときのことを歌っていて、当時はお母さんとの関係が人生で一番最悪だったそうですね。お母さんがリナのMSN Messenger(当時のチャットツール)をハックして勝手にログインし、リナの友達にメッセージを送っていたことなどを、そのままリリックに綴っている。追いかける母親、逃げるリナの構図をゲームのようにたとえ、ゲーム音楽的なピコピコサウンドで当時の関係性を描いているのもすごく面白いです。

リナ:今思うと、私のことを守ろうとしてくれていたんだなってわかるんですけどね。私にバカなことをやってほしくないって思ってたんでしょうね、実際私がそんなこともしてたから(笑)。そこで人生を壊してほしくない、って。母は新潟で育ったので、私のロンドンでの生き方とは全然違ったんです。ティーンエイジャーの都会での過ごし方にびっくりしていた部分もあるんだと思います。

―今は、お母さんとの関係性はどうですか?

リナ:とってもいい関係性を築いてますよ。私もいろんなことを経験して大人になったから、いい関係を築けるようになりました。

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