全米ライブ制作会社100社以上が結束し、コロナに立ち向かう 仮設病院の設置運営など救助隊へ

Live for Lifeがローリングストーン誌に語ったところによると、同連合のメンバーは、はやくも全米で40〜50件のプロジェクトに取り組んでいる。ニューヨーク州ニューヨーク・シティのジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センター(通称ジャヴィッツ・センター)に設置される仮設病院もそんなプロジェクトのひとつだ。Live for Lifeは、インフラ整備のために可能な限り現場で働けるスタッフを抱えているが、それが難しいと判断された場合は、部品や技術指示をアメリカ陸軍工兵隊(USACE)のような公認パートナーに提供している。Live for Lifeは、もっと大々的な国家支援のためにすでに米疾病対策センター(CDC)のみならず、米連邦緊急事態管理局(FEMA)との事前協議を済ませている。これによって大規模な予防接種センターといった今後の施設建設に貢献できるかもしれないのだ。

現在、加盟社が製造している資材は、彼らが日々手がけるプロジェクトとかけ離れたものだが、大規模イベントに必要とされるデザインがイベントによって異なるのも事実だ。そうした多様性ゆえに、今回のようなシフトに対処できているのだ。Czarnowskiで営業担当副社長を務めるニック・シモネット氏は、彼のチームが直面した最大のチャレンジは防護服やマスクといったPPEへのシフトだったと語る。「私たちは、ありふれた素材をユニークな方法で使っています」とシモネット氏は言う。「みんながクリエイティブかつ真剣に考えているんです。それを目の当たりにするのは、素晴らしいことです」。

相次ぐイベント中止により、イベント会社は多くの仕事を失ってしまった。Live for Lifeを立ち上げた3社をはじめとするいくつかの加盟社のなかには、従業員を一時解雇したものもある。Czarnowksiは約800人のフルタイム社員と約3000人のパート社員を抱えているが、現在はもとの従業員数の40%ほどに縮小している。こうした企業は、PPEの製造と仮設病院インフラの整備によって従業員のために少なくとも何分の1かの仕事を確保することができただけでなく、必需品への差し迫った需要に応えることに一役買っているのだ。

マイヤーCEOは、ライブイベント会社は万能だと語る。だからこそ、パンデミック対応に必要な物資とインフラを提供する上で彼らほどの適任はいないのだ。さらにプロジェクト主催者は、Live for Lifeが儲けではなくコストのために働いていると指摘する。要するに、必要経費と従業員の給料をカバーできるギリギリのところで仕事をしているのだ。

災害対応へのシフトは、イベントプロデューサーである自分たちにとって比較的スムーズだったとLive for Lifeの共同設立者たちが語る一方、今回のような災害対応は初めてだったと3人は口を揃えた。連邦政府のサポートは微々たるものだった。ニーズを察知した彼らは、自らの存在をさらすことにした。「連邦政府は、私たちのことを知りませんでした。私たちは、誰にも知られていない最大の産業なのです」とシモネット氏は言う。「私たちは、(連邦政府から)何も聞いていなかったからこそ、あえて手を伸ばしました。仮設病院を建設するために政府が採用している方法論を見てください。それは、まさに私たちがやっていることなんです」。

今回のパンデミックは、やがて収束するだろう。共同設立者たちは、今回のように国家レベルで彼らの手が必要とされなくなった時のLive for Lifeの行く末について考えはじめている。プロジェクト主催者は、そのような判断を下すにはまだ早すぎるし、やるべき仕事はまだまだあると言う。それでも、今後の似たような事態のための基礎は固まった。「(新型コロナウイルスは)収束するのか、それとも背景に身を潜めてじっと待つのか?」とシモネット氏は問いかける。「災害復旧プロトコル(手順)というものはすでに存在しますが、パンデミックに関しては、そんなものはありません。私たちは、今回のようなことが再発した時は、解決策のひとつとなりたいと考えています。すでに戦略はあるのですから」。

・1000床備えた仮設病院ジェイコブ・K・ジャヴィッツ・コンベンションセンターの内部公開

Translated by Shoko Natori

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