隔離中の変態たちに残された唯一の選択肢、バーチャル乱行パーティとは?

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WEB会議のプラットフォームを用いて性行為におよぶ面々が増えてるという。イベントのタイトルは「Couples  PlayDate」。主催している米団体NSFW(NEW SOCIETY FOR WELLNESS)は、「セックスとマリファナに肯定的な体験」を提供するプライベートクラブを自称している。

参加カップルはみな若くて(または若く見える)魅力的で、照明使いやカメラアングルにことのほか精通しているようだ。NSFWの創始者ダニエル・セイント氏は、オンラインでの会議サービスZoomが最近爆発的人気を遂げたおかげだと考えている。「今じゃ、大勢の人々がカメラアングルや照明に詳しいみたいですね」と彼は言う。「Zoomのおかげで、カメラ写りを心得た世代が増えそうです」

閉鎖を余儀なくされたセックスパーティはNSFWだけではない。ソーシャル・ディスタンシングの時代、どこもデジタル化にシフトせざるを得なくなっている。かつてロンドンに拠点を置くセックスクラブ「Killing Kittens」主催の乱交パーティがあったが、そうしたトレンドも今はポルノの世界へ活動の場を移し、アレクサンドル・サルトル監督などはビデオ会議回線で4方向のレズビアン乱交映像を制作した。NSFWがパーティを開催しているのは別のプラットフォームだが(締め出される恐れがあるため、セイント氏は明言を避けた)、こうしたイベントの多くは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)時代のミレニアル世代のお気に入りプラットフォームZoomで開かれている。生理的解放を提供するにとどまらず、パニックや不安が幅を利かせるこの時代、セラピーに近い役割を果たしているものもある。

・バーチャル乱行パーティを主催するNSFWのサイト(写真)

「ガイド付きの瞑想へ案内するような感じですね」と言うのはオスカー・バズ氏(仮名)。この数年、ブルックリンでクイア向けにアンダーグラウンドのセックスパーティを主宰していたが、今ははほぼ毎晩、主にゲイやトランスジェンダーの男性向けにZoomでパーティを開いている。「グループで、みんなで一緒にアクティビティをするんです。身をゆだねて、妄想の世界に入っていけるよう手を貸そうとしてるだけです。自由を感じられる空間を作ろうとしているんですよ」

一見すると、セックスパーティをデジタル世界へ移行するのはそもそも無理な相談のように思える。理由は明白だ。画像が固まったり、音声が遅れたりといった技術トラブルは、ユーザーエクスぺリエンス的に決して最適とは言えないし(「こういう飛び飛びの動画を見ると、10歳の時に乳首を拝みたくて『プレイボーイ』チャンネルを覗いたことを思い出すよ」。PlayDateである男性はこう言った)、それにこの手のイベントでは、実際のセックスパーティのような五感を刺激する経験は味わえない(「実際のセックスパーティにあって、バーチャル・セックスパーティに欠けているものは何だろうね?」と、NSFW歴の長い友人に質問してみた。Couples PlayDateに誘ってくれたのも、実は彼女だ。彼女は単刀直入に「ファックする相手よ」と答えた)。

だが、自宅隔離中の独身貴族や、退屈してムラムラしているカップルにとって、Zoomをはじめとするプラットフォームでのバーチャル・セックスパーティは、恐怖――仕事を失う恐怖、自分や愛する人が感染する恐怖――や倦怠に彩られた日常の隙間を埋めてくれるものだ。「ほぼ1日中、電気毛布をつけてベッドに寝そべって、オペラを見ています」と言うバズ氏も、鬱と不安症を抱えている。だがZoomの自慰パーティは、「コミュニティと繋がり、自分は大丈夫だと確認し、自分に自信が持てるようにするための手段なんです」と言う。彼は一種の公共サービスと考えていて、他のセックスパーティとは違い、参加費も一切徴収していない。

かつてはビジネス用会議のプラットフォームと呼ばれていたZoomは、COVID-19時代に爆発的人気を博している。この3カ月で、1日の平均ユーザー数は1000万人から2億人に急増した。いまや大学のオンライン講義から高校生の音楽演奏、そしてついにはパーティまで、あらゆる用途に大活躍している。バズ氏も、当初は連絡を取り合うために始めたそうだ。コミュニティのメンバーと自宅待機中の生活を語り合ったり、ウイルスの症状じゃないかと大騒ぎしたり。だが時が経つにつれ、「なんとなく共通認識で、自慰サークルみたいになったんです」。彼のパーティには、毎晩およそ20~30人の男性が入れ替わりしている。

全てのセックスパーティのオーガナイザーが、こうした目的にZoomを愛用しているわけではない。例えば、より「洗練された」体験を好むNSFWはZoomを忌み嫌っている。黒いウィンドウが果てしなく並び、膨れ上がった性器のアップが点在するのではなく、参加者は4つの「特等席」を競い合い、他のオーディエンスのために実演する。「カメラの前で実演するのを鑑賞する場にしたかったんです」と創始者のセイント氏。「あんなにたくさんウィンドウがあったら、ヤる気も失せますよ」

Translated by Akiko Kato

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