米女子学生不明事件、24年前の謎を解き明かすのはポッドキャストの司会者

遅れた初動捜査

カリフォルニア州立工科大学の1年生だったクリスティン・スマートが行方不明になったのは1996年5月25日、キャンパス近くのパーティーに行った帰りだった。泥酔したスマートは、一緒にパーティーに行っていたティム・デイヴィスとシェリル・アンダーソンに付き添われて寮に戻った。アンダーソンによれば、どこからともなくポール・フローレスが現れ、いつの間にか一行に加わった。デイヴィスが捜査官に語った話では、フローレスはパーティでスマートを口説こうとし、抱きついたこともあったようだ。アンダーソンも、19歳のフローレスがChester the Molester(痴漢のチェスター[訳注:痴漢行為で知られるコミックのキャラクター])と学生たちにあだ名されていた、と捜査官に語った。

デイヴィスはその後すぐに別れ、スマートの寮の40歩ほど手前でフローレスが彼女を送り届けると言うと、アンダーソンも2人を後にした。彼女の姿が確認されたのはそれが最後だった。週末にどこかへ出かけたのだろうと思い込まれ、捜査が始まったのは消息を絶ってから1週間ほど経ってからのことだった。同じ寮の学生がパーティーから2日経ってもスマートが部屋に戻ってこないことに気がついたが、大学警察は捜索願いの受理を拒んだ。仕方なく、学生は地元警察とスマートの家族に連絡し、失踪を知らせた。

スマートの両親からの要請を受けてからようやく大学警察は捜索を開始し、ロサンゼルス・タイムズ紙によると現場報告書には「スマートの生活は一般的なティーンエイジャーのものとは異なる。これは彼女の行動が失踪の原因だと断定しているわけではないが、失踪当夜の彼女の振舞いを伺うことはできる」と書かれていた。さらに、スマートは友達が多くなかったこと、失踪した夜は酔っぱらっていたこと、パーティーで複数の男性への声のかけ方などが詳しく書かれていた。

サンルイスオビスポ・トリビューン紙によると1996年5月末、フローレスは大学警察の捜査官レイ・バレットとマイク・ケネディから最初の事情聴取を受け、その後サンルイスオビスポ郡検事局からも取り調べを受けた。6月10日、大学警察はようやく彼の部屋を家宅捜索したが、すでに夏休みに差しかかっており、部屋は綺麗に片付けられていた。6月19日に再び郡検事局から事情聴取を受け、このとき、パーティー前後に出来た目の周りの痣について嘘をついたことを認めた。当初はバスケをしているときのものだと言っていたが、これを撤回し、カーステレオをいじっているときにぶつけたと言った。不器用なやつだと思われたくなかった、と彼は捜査当局に語った。

Translated by Akiko Kato

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