米女子学生不明事件、24年前の謎を解き明かすのはポッドキャストの司会者

クリス・ランバートのポッドキャスト『In Your Own Backyard』で、クリスティン・スマート失踪事件への関心が再び高まる(Photo by Don Kelsen/Los Angeles Times/Getty Images)

24年前に米カリフォルニア州で起こった行方不明事件。今年2月初め、進展のなかった捜査に動きがあった。きっかけは犯罪専門のポッドキャスト番組だった。

米カリフォルニア州中部で育ったクリス・ランバートは、ある1枚の看板のことが頭から離れなかった。太陽にさらされ色褪せたそれにはカリフォルニア州立工科大学の学生クリスティン・スマートが微笑む写真。発見した人に7万5000ドルの謝礼を約束する文言が書かれている。「セントラルコーストで育った人なら、彼女の名前を聞いたことがあるはずです」と、31歳のミュージシャン兼ポッドキャスターのランバートはローリングストーン誌に語った。「(看板を見る度)彼女がまだ見つかっていないことを思い知らされます。『何があったんだろう? なぜ答えが見つかっていないんだ?』と思い、調査を始めました」

スマートの行方がわからなくなってからほぼ24年が経つ。だが2月初め、サンルイスオビスポ郡保安官事務所とFBIはスーザン・フローレスの自宅を訪れ、家宅捜査を行った。彼女は事件で唯一の重要参考人、ポール・フローレスの母親だ。保安官事務所のスポークスパーソン、トニー・シポラは、当時19歳のスマートさん失踪事件の捜査の一環でカリフォルニア州とワシントン州の4カ所を家宅捜索する、とだけ発表した。ランバートをはじめとする人々はみな、そのうちの1カ所がフローレス宅であると予測がついていた。そこでランバートは、見物人が通りで「彼女を出せ!」と繰り返し叫ぶ中、思い切って隣の家の裏庭に忍び込み、一部始終を観察することにした。

ランバートはスマートの事件を扱った大人気ポッドキャスト『In Your Own Backyard』(2019年9月配信開始)の司会を務めてはいるものの、人付き合いや交流も得意な方ではない。フローレス宅で何が起きているかは知りたかったが、それについてわざわざ誰かに話したくはなかった――少なくとも、ポッドキャストの盾がないときは。だが今、執拗に追い続けた事件が再び注目を浴びる中、気がつくと自分もすっかりその一部になっていた。

Translated by Akiko Kato

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