メタリカのラーズ・ウルリッヒが選ぶ、最強のメタル/ハードロック・アルバム15作

メタリカのラーズ・ウルリッヒ(Photo by Gary Miller/Getty)


アイアン・メイデン『The Number of the Beast』(邦題:魔力の刻印、1982年)


俺の意見では、このアルバムこそがアイアン・メイデンの最高傑作だ。ソングライティングだけじゃなく、プロダクションの面においてもね。このアルバムをプロデュースしてるのは、ディープ・パープルの初期の作品やレインボーのレコードを手がけたマーティン・バーチだ。まさに彼らの最高到達点と言っていいと思うね。「魔力の刻印」は、バンド史上最高のシングル曲のひとつだろう。大ヒットした「誇り高き戦い」の方がセールス的には上だったとしてもね。超ディープな「審判の日」は、(ジューダス・プリーストの)「死の国の彼方に」や、(ディープ・パープルの)「チャイルド・イン・タイム」にも引けを取らない、メタル史上屈指の一大叙事詩だ。あの曲はメタリカの「フェイド・トゥ・ブラック」「ワン」「ウェルカム・ホーム(サニタリウム)」なんかの原型と言ってもいい。

比較的地味なイメージの曲もすごくいい。テレビドラマを下敷きにした「ザ・プリズナー」や、バンドの1stアルバムに収録されてる「娼婦シャーロット」の続編にあたる「アカシア・アベニュー22」なんかがそうだね。これはヴォーカルがポール・ディアノからブルース・ディッキンソンに変わってから初めてのレコードで、プロダクションやソングライティング、それにアティテュードまで、バンドの真価が存分に発揮された1枚だ。また結成メンバーで、今は亡きクライヴ・バーがドラムを叩いてる最後のアルバムでもある。彼からはすごく影響を受けたよ。得意技だったとんでもなくタフなスネアロールもそうだけど、彼はテクニックよりもウェイトや、それこそエアドラムしたくなるようなアティテュードを大切にしてた。プレイはシンプルなんだけど、1音1音にはっきりとした目的があるのがわかるんだよ。

メタリカがどれだけアイアン・メイデンから影響を受けてるかってことを、俺はこれまでも公言してきた。彼らは俺たちにとって大きなインスピレーションだからね。ジャケットやパッケージング、ツアーパンフレット、Tシャツ、ステージプロダクションまで、何もかもが最高にクールだった。彼らは常に先を行ってて、すごくクールな照明器具をいち早く採用したりしてた。ファンをすごく大切にするところにも感銘を受けたよ。俺の友達なんかは、エディのイラストが描いてあるクリスマスカードを受け取ってた。クレイジーでクール、それでいて他のどのバンドよりもファン思いっていうスタンスを、彼らは徹底的に貫いてるんだ。





ジューダス・プリースト『Unleashed in the East』(邦題:イン・ジ・イースト、1979年)


これはジューダス・プリーストの初期の傑作だ。当時のヨーロッパでは、ハードめなバンドの多くがアメリカの市場を意識して、短めのシングル向けの曲を出し始めてた。それは別に悪いことじゃないけど、中には自分たちのルーツを見失っていったバンドもいた。このアルバムはジューダス・プリーストがヒット曲を出す前の作品で、彼らのライブの凄まじさを物語ってる。

このアルバムには『運命の翼』のディープな曲がたくさん収録されてる。歴史的名演の「生け贄」はエネルギー全開で、ザクザクと刻むダウンピッキングのリフはディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を思わせる。2本のギターのユニゾンっていうコンセプトを考えついたのは、AC/DCか彼らのどっちかだろうね。モーターヘッドとかディープ・パープルはギターが1本だけだったし、音を重ねるにしても違うパターンやコードを弾いてたけど、ジューダス・プリーストでは2人のギタリストが全く同じフレーズを同時に弾いてた。それによってよりヘヴィでビッグ、肉厚で臨場感のあるサウンドを生み出してた。オープンEの「グリーン・マナリシ」を聴けば、彼らがダウンピッキング中心のヘヴィメタバンドのトップランナーだった理由がわかるはずさ。このアルバムが出たのは1979年だけど、彼らは76年頃からこういうサウンドを追求してた。彼らはすごく先を行ってたんだよ。俺にとっては今でも、ジューダス・プリーストの全作品の中でこれが一番だ。

●ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードが選ぶ、至高のメタル・アルバム10作


Translated by Masaaki Yoshida

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