ピエール中野と手島将彦が語る、現在の音楽業界に必要なメンタルヘルス


ー中野さんはInstagramでファンからの相談に回答したものをまとめた『Instagramストーリーズ #キリトリ線~少しだけ生きやすくなるための思考の整理~』(以下、キリトリ線)を書かれています。手島さんは読まれて、どのような感想を持たれましたか。


手島:全体の回答の思い切りの良さはどこから出てくるんだろうって思いました。天性のカウンセラー感があると思うんです。カウンセラーからすると、基本的なスタンスのひとつに、「相談したいくらい悩んでいらっしゃるんですね?」と返すというのがあるんです。それはそれでアリなんですけど、人によってはモヤっとしてしまうんですよね。中野さんは答えに瞬発力があって、その思い切りに加えて打率も高い。

中野:嬉しいです(笑)。

手島:カウンセラーは傾聴するんですけど、何処かではグッと踏み込まなければならない場合もある。でもそれは経験と感覚によるところもあってなかなか難しいので、単純にすごいと思って『キリトリ線』を読んでいます。あと、カウンセラーって、悩んでいる人が相談してくれればどうにかできるかもしれないけど、そもそも相談してくれないことが多い。『キリトリ線』だと、中野さんに相談したいという信頼感を持たれていることがすごいんですよ。世の中としても相談しやすい雰囲気がないとやっぱり言いにくいですし。業界の問題だけでもなく、学校でも家庭でも相談していいんだっていう空気が必要ですね。

ー中野さんは体系的にメンタルヘルスについて学ばれたことはあるんですか?

中野:関連の本を読むのは元々好きでしたし、逐一調べるタイプではあるので知識が溜まっていったり。あとは対面で当事者と話すことも多いので、それが積み重なってきたのを経験値として出しているんじゃないですかね。あと『キリトリ線』の悩み相談を募集した時は、誰に相談したらいいか分からず、中野さんに相談しちゃいましたって言う人は相当多いです。

手島:難しいことに、身近な人には相談したくないっていう心理もあるんですよね。だからこそ程良い距離感にあるカウンセラーとか精神科医がいるんですけど、そもそも相談していいんだと思ってないこともあるので。

中野:やっぱり第三者に相談するって一番楽なことだと思うんですよ。他人だからなんでも話せるじゃないですか。失うものもないし、話を聴いてくれるし。僕の友達も、身近な人に言えなかったことをカウンセラーに話したら、だいぶ救われたって話していました。そこの選択肢を誰もが当たり前に持っているっていう状況を作れたらなって思いますよね。

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