コロナ影響下の米国:オハイオ、アトランタ、フロリダ、シカゴ(写真ギャラリー)

左からフロリダ(Photo by Zack Wittman for Rolling Stone)、シカゴ(Photo by Lyndon French for Rolling Stone)

新型コロナウイルス感染症の猛威にさらされるアメリカ。ローリングストーン誌が捉えた現地の風景を写真とともにお届けする。今回はフロリダ、アトランタ、シカゴ、オハイオ。

・オハイオ

1:「あきらめないで」

オハイオ州は、全米でもコロナウイルスに関して真っ先に警鐘を鳴らした。共和党のマイク・デワイン州知事は、州で最初のCOVID-19感染者が報告される前からリスク軽減措置を講じた――コロンバスで行われる毎年恒例のアーノルド・スポーツ・フェスティバルへの一般入場の禁止もそのひとつだ。パンデミックに対する早急かつ積極的な対策の結果、感染拡大は抑えられ、4月中旬にはすでにオハイオ州の新規感染者数は減少傾向にある。

街には住民の姿は見えないようだが、希望のメッセージはしかと存在している。写真家のマディ・マクガーヴィー氏は3月30日、州都コロンバスなどいくつかの街を撮影しているときにこの看板を見かけた。スプレー缶で「あきらめないで」と書かれた看板は、コロンバスのダウンタウンにある週刊道路70号線・71号線のインターチェンジ上のフェンスに掲げられていたものだ。

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


2:家にいよう、安全でいよう

「現在休業 必ず再開します!」

コロンバスのダウンタウンにあるレストランバーDempsey’sは、デワイン州知事の命令に従って3月15日に休業した。多くの飲食店同様Dempsey’sも業務替えして、特定の時間帯に限定してデリバリーとテイクアウトを提供している。医療、警備、陸軍で働く人には15%オフ。「マークは8年前にレストランをオープンしましたが、ここまでやってこれたのは皆さんのおかげです」。店のWEBサイトの告知にはこのように書かれている。「当店はいくつもの喜びと悲しみを皆さんとともに称えてきました。そのことはこれからもずっと忘れません。これが収束したら、マーク・デンプシー流の盛大なパーティを開く予定です。それまではどうぞご自愛ください」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


3:食料庫

コロンバスのフードバンクは、道路わきでの受け渡しに対応するべく屋外に活動場所を移している。3月30日、オハイオ州立大学付近のフードバンクNeighborhood Services Inc.で働く若いボランティアの1人、アダム・ブレイディ氏。

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


4:Neighborhood Services Inc.

Neighborhood Services Inc.で商品を整理するアダム・ブレイディ氏とキルステン・ブラマー氏。「フードバンクは人との接触を減らすために、こんな風にやり方をがらりと変えたんです」と、写真家のマディ・マクガーヴィー氏は言う。「それでも2人ほど、袋を持って現れた人がいました。いつもここに来て食料を受け取っていたんでしょうね。でも、中には入れてもらえませんでした」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


5:手を差し伸べる

「私の職場も閉鎖されました。金銭的には問題ないですが、友人と一緒に助けを必要とする場所で何かしたかったんです」と言うキャシー・ブライス氏は24歳のヘアスタイリスト。Neighborhood Services, Inc.でボランティアをしている。「このフードバンクは私の家の近所なんです。自分のコミュニティを助けたくて。こういう不確かな時に、コミュニティのために何かしたかったんです」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


6:Worthington Resource Pantry

コロンバスのフードバンクWorthington Resource Pantryの前に停めた車に、たくさんの買い物袋を積み込むボランティアのグウェン・エルドリッチ氏。

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


7:「ドワインとワインで乾杯」

3月23日、真っ先に州全域に自宅待機命令を出した州知事の1人がドワイン州知事だった。ドワイン州知事とオハイオ州保健局局長のエイミー・アクトン博士は、毎日午後2時にコロンバスのオハイオ州庁舎で記者会見を開いている。「民主党員も共和党員も、みな彼の対応には非常に満足しています」とマクガーヴィー氏も言う。「彼は毎日記者会見を開いています。世間では『ドワインとワインで乾杯』と呼ばれています。ここでは彼は民衆のヒーローですね」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


8:ソーシャル・ディスタンシング

ドワイン州知事の日例記者会見は別室で行われる。記者は州庁舎の別の場所で、6フィートの間隔を空けながら、TV画面越しに会見を聞く。ドワイン州知事が話終わると、ビデオ回線で質疑応答が行われる。

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


9:マスク

作業着とデニムのメーカーZace Brandのオーナー、ザック・メイヤーズ氏。コロナウイルスの発生以降製造しているマスクの迷彩柄の生地をチェックしている。オハイオ州中北部のフレデリックタウンという小さな町を拠点とするZace Brandでは、アーミッシュの従業員を抱えているため、ほとんど電気をつけずに稼働している。

「この作業に取りかかってみたら、かなり大変だということがわかりました」とメイヤーズ氏。「政府から支給された軍用の迷彩生地が1000ヤードほどあったので、手持ちの素材を使ってマスクを作ろうと考えたんです」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


10:ビジネスプランの変更

メイヤーズ氏によると、Zace Brandが週に製造できるマスクは約3000枚。4月中旬の時点で、すでに6500件のマスクとバンダナの注文を受けたという。現在Zace Brandの製造はマスクとバンダナ1本だ。

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


11:需要に追いつけ

メイヤーズ氏いわく、Zace Brandではマスクとバンダナの需要に追いつくためにスタッフを7倍に増員した。「かれこれ4週間、1日も休みなしで18時間労働しています。注文が殺到しているんです」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


12:「ソーシャル・ディスタンスを実行しよう」

フレデリックタウンから北に10マイルほど行ったベルヴィルの町にあるアイスクリームパーラー兼レストラン、Clear Fork Dairy Belleの看板も模様替え。住民にソーシャル・ディスタンシング対策を呼びかけている。「あちこちに看板があります」とマクガーヴィー氏。「もっと軽いノリのものもあれば、シリアスなものもありますが、大半は応援メッセージです。でも不気味ですね。何もかも以前と同じではなくなるみたいな感じです」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone


13:ワッフルハウス

コロンバス北部の村、サンベリーのとあるワッフルハウス。現在休業中で、看板の照明も(ほぼ)消えている。多くのオハイオ人にとって、地元の名物である朝食ダイナーが、たとえ一時的にせよ店を閉じることほど不吉な兆候はない。「ワッフルハウスというのは、文字通りいつでも開いているものなんです。ですから、そこが今店を閉じているというのはなんとも落ち着かない気分にさせられます」とマクガーヴィー氏。「ワッフルハウスはいつでも開いている。それが信条です。24時間365日、何があってもです。ワッフルハウスがどこも閉まっているのは、かなり妙な光景ですね」

Photo by Maddie McGarvey for Rolling Stone

・アメリカの日常はどう変わったのか?(写真ギャラリー)

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