コロナ影響下の米国:オハイオ、アトランタ、フロリダ、シカゴ(写真ギャラリー)

・アトランタ

1:在庫補充

「私もウイルスのことは気になりますが、パニックになったりはしません。パニックになると、人はまともに考えられなくなりますから」と言うのは、アトランタのPiggly Wigglyのレジ係、マリリン・フロレンティーノ氏。3月末、街を撮影していた写真家のジョナサン・ケルソー氏にこう語った。数日後の4月1日、ブライアン・ケンプ州知事は州全域に自宅待機命令を発令した。ジョージア州は自宅待機命令を出していない12州のひとつだったが、小さな町アルバニーでCOVID-19感染者が増大し、人口比率でみた感染者数は全米第4位となった。「お客様の中には、まるで私がエボラ患者かなにかのような態度を取る人もいます」とフロレンティーノ氏。「離れたところに立って、ベルトコンベアの上にお金を置くと、さっと遠ざかるんです。私は看護師でも医者でもないけど、今の自分の仕事がどれだけ重要かは分かります。形は違いますが、私も人助けしているんです」

Photo by Johnathon Kelso for Rolling Stone


2:生協は稼働中

「今日は私一人で、ここで食料を仕分けして箱詰めします。その後、生協の会員のところへ配達します。他には誰もいませんよ」と言うのは、生活協同組合Urban Recipe Foodの責任者、スパンガ・グワベニ氏。生協は会員が確実に食べ物を確保できる重要な供給源だ。会員はみな一緒に作業して、食料を公平に仕分け、箱詰めし、分かち合う。「普段なら、この部屋に50人程度が集まって、食べ物の仕分けと配布をしていたんですが」とグワベニ氏。「パンデミックの後は、別の配布方法を考えなくてはなりませんでした。今は食料の入った箱を直接会員のご自宅に届けています。外出できない人や、安全な交通機関が使えない人向けの宅配サービスにも取り掛かっているところです。この辛い時期に、食べ物がない人が絶対に出ないようにしていきます。力の続く限り、この仕事を続けていきますよ」

Photo by Johnathon Kelso for Rolling Stone


3:コミュニティの精神

「生協が提供する食料は、今もっとも必要とされる贈り物です」と言うのは、会員のクリスティーン・ヒルトン・レイニー氏。本人いわく、パンデミックのあと不完全雇用から完全失業になったそうだ。だが彼女はボランティアとして、生協会員に食料品の入った箱を配達している。「食料品の箱が届くということは、家族の負担がひとつ減って、悩みがひとつ減るということ。食べ物は薬です。途方に暮れているであろう人々にとっては、わずかばかりの生きる気力なんです」

Photo by Johnathon Kelso for Rolling Stone


4:祈りの場所

聖トマス・モア・カトリック教会の教区民、ダニー・ロックチャーリー氏。「コロナウイルスのパンデミックが起きて以来、ミサは中止されてしまい、懺悔を受けることはできません」と彼は言う。「ですが、アトランタの大司教は祈祷と崇拝で教会を訪れることを認めてくださいました。崇拝とは単にイエス様と時間を過ごすことです。崇拝をしていると、私の心と精神に平穏が宿ってくるんです。恐れも、悩みもなく、ただ愛だけ。どこででも祈ることはできますが、私には教会で、聖体の前で祈るほうが良いですね。今は誰もが不安を抱える時期ですが、ここへ来ると穏やかな気持ちになれます。有意義な時間が過ごせるんです」

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5:生協のつながり

ドット・アン氏とJ・C・ホワイト氏が生活協同組合Urban Recipe Foodの会員になってもう20年になる。「生協は私にとって重要な存在です。みんなと仲良くなれるし、情報交換もできるし、自分の居場所ができるし」と言うドット・アン氏。もし生協の配達が無かったら、わざわざバスに乗って食料品店まで行かなくてはならなかった。「食料が1週間分もなかったので、今日食料を届けてくれて本当に助かりました」

Photo by Johnathon Kelso for Rolling Stone


6:日常生活に必要な職業

「生協の人々は愛と思いやりにあふれています」と言うのは、会員歴6年のロザリー・コーディ氏。「必要とあれば、皆さんが無事であるように祈りの言葉もかけてくれるでしょう」

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7:安全な距離

アトランタの会員の自宅前の車の上に乗った、Urban Recipeの食料品の箱。受け渡し時に安全な距離が保たれるよう、荷物は外に放置されている。

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8:ドライブイン式ミサ

ディケターにあるクラウン・オブ・グローリー国際教会では、ドライブイン式の礼拝を考案した。信者らは教会の駐車場で祈りを捧げる。

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9:盛り上がっていこう

ドライブイン礼拝で、開いた窓越しにスピーカーから流れるゴスペル音楽に合わせて踊る、司教の母親のアルマ・ルイス氏。「途中までは皆さん、(人との間に)距離をとることは大事だと思っていました」と、ジョナサン・ケルソー氏は言う。「でも、ひとたびゴスペル音楽を耳にして、司教の言葉に鼓舞されるうちに、実際に距離をとるのは非常に難しくなりました。ドライブインはどこへやら、駐車場のお祝いイベントのようになりました」 司教の母親は「外で終始踊りまくっていましたよ」

Photo by Johnathon Kelso for Rolling Stone


10:信仰心

ドライブイン礼拝で、車のそばで祈りをささげる信者

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11:日曜説法

G・T・ルイス司教の説法に耳を傾けるヴィッキー・ライモン氏と娘のグレイスちゃん

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