大型イベント、夏以降に再開することはできるのか?

毎年4月に開催されている米コーチェラ・フェスティバル(Photo by Rich Fury/Getty Images)

今年4月開催予定だったが、10月に開催延期となったコーチェラフェスティバル。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米国にて隔離措置が取られてから1カ月が経とうとするなか、医療関係者は10月の開催の安全性を疑問視している。「押し進めようという(フェス主催者の)努力は賢明ですが、現実的には難しいでしょう」とある伝染病学者はコメント。「今年の夏には、選択を迫られます。でも私個人としては、いまはチケットは買いませんね」。

コーチェラ・フェスティバルのコンサートプロモーター・主催者を務めるGoldenvoiceが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米最大級の野外音楽フェスの10月への延期を発表すると、当然のように音楽ファンの多くは、今回のパンデミックによる打撃は大きいが、それはライブ音楽業界のスピードを一時的に緩めて減速させる道路のスピードクッションのようなものだと考えた。そしてボナルー・フェスティバルやサマーフェストといった大規模音楽フェスがコーチェラにならって秋への開催延期を発表すると、夏の終わりには普段通りの生活が戻ってくる、という人々の思いはますます強くなった。だが、この百年超において最悪のパンデミックのせいで人々が自宅で過ごすことを余儀なくされているいま、秋開催の雲行きはますます怪しくなっている。

米ローリングストーン誌がコンタクトを取った複数の医療関係者は、今秋からコンサートを再開させるという考えは現実的とは言えず、むしろ危険で無責任であると語った。関係者のあいだでも見解はさまざまで、懐疑的な意見を示す者もいれば、再開は不可能だと述べる者もいた。それでも全員が口を揃えて言う——2020年に大規模なコンサートは実施されないだろうと。

「この仕事で生計を立てている人が大勢いることは承知しています。でも、イベント再開という観点から見る限り、コンサートの復活はかなり可能性が低いと思います。まずは、学校の再開が先です」と米カリフォルニア大学サンフランシスコ校に務める伝染病学者のジョージ・ラザフォード博士はローリングストーン誌に語った。「シェルターインプレイス(屋内退避命令)が出されたからと言って、すべてが魔法のように元どおりになるわけではありません」。ラザフォード博士によると、人口の90%が免疫をつけるまで大規模フェスやコンサートは安全ではない。博士は、2021年夏まではそれが難しいと考えている。

ラザフォード博士以外の伝染病学者も同じように警鐘を鳴らしている。ワシントン大学の伝染性疾患諮問委員会(ACCD)の臨時議長を務めるジェフ・ゴットリーブ博士は、ライブが安全に再開できる時期を予測することは控えたものの、今秋は早すぎるだろうという見解は示した。

「ライブ解禁については、最終的に公衆衛生管轄区域ごとに決定されるでしょう」とゴットリーブ博士は言う。「現時点では、それが9月までに実現すると考えることは現実的ではないと思います。とりわけ、効果が実証された観客やパフォーマーのための緩和計画とソーシャルディスタンシング計画を持たないイベントにとっては困難です。大々的なフェスのような大規模集会には、ウイルスによって再び感染拡大を引き起こすポテンシャルがありますから、効果的なワクチンや治療方法が開発される、集団免疫ができる、あるいは効果が実証された公衆衛生手段が取られない限りは、開催できないでしょう」。

Translated by Shoko Natori

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