グローバル・シチズンCEOが語る、ライブイベント制作秘話「ガガ母のサポートがあってこそ」

イベントの大物サポーターたちが注目を集めるなか、エヴァンス氏は今回のイベントによって成し遂げたいことに集中するよう努めた。「どれだけ多くの人が大切な人や仕事を失い、医療従事者の方々がいまどれだけ一生懸命働いてくれているかを考えると、何かをしたいという気持ちが込み上げてくるのです。彼らこそがこのストーリーのヒーローなのですから」とエヴァンス氏は続ける。「彼らの真価を表現できるような何かをしたいとずっと考えていました。素敵なショーを提供するだけでなく、不正を正せるような何かを。大勢の人が命を落とし、愛する人を失い、仕事を奪われている苦しい状況下でこうした想いを表現するにはどうするべきか? その点においては、まだまだ不十分だったと思います。でも、ベストを尽くしたかったからこそ、私たちは持てるすべてを注ぎました」。

今回のイベントによって集まった多額の寄付金は、来月中にしかるべき団体の手にわたるとエヴァンス氏は語った。WHOの新型コロナウイルス感染症対応連帯基金には、医療従事者のための5500万ドル(約59億円)の寄付金とともにゴーグル、マスク、フェイスシールドといった個人防護具がおくられる。7200万ドル(約78億円)はホームレスや社会的弱者を支援する世界各地のローカルチャリティ団体に寄付される予定だ。

さらにエヴァンス氏は、この数週間にわたって米政府が非難し続けているWHOへの支持を表明した。先週、トランプ大統領はWHOへの出資金をストップしたばかりだ。「国際連合総会の全面的なサポートを得ている機関はWHOだけです」とエヴァンス氏は語る。「世界規模の対応ができるのはWHOだけなのです」。



「世界レベルで対策がとられない限り、アメリカは経済活動を完全に再開させることなんてできません」と同氏は続けた。「なぜなら、国際線を再開したとしても、私たちはどこにあるかわからないウイルスがそこら中に広まる様子を見てきたのですから。誰もが職場に戻りたいと思っていますし、仕事を返してほしいと思っています。誰もがコロナ後の"新しい普通"を求めているのですが、当面は不可能です。世界でもっとも貧しい国々の医療システムは非常に脆弱ですから、今回のような感染拡大に対応できず、それが原因となってアメリカに感染拡大の第二波を引き起こしかねない、という事実を把握しなければなりません」。

「私は、これを啓蒙的利己主義とあえて呼んでいます」と同氏は言い足した。「チャリティという観点で他国に興味を持っていなくても、正しい情報にもとづいた利己主義的視点から積極的に支援するべきなんです。あなたの家族、そして私の家族にも関わることです。医療制度が不十分な国は、私たち全員に影響を与えるのですから」。

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Translated by Shoko Natori

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