強い意志を持つことは決して簡単ではない 誰かを犠牲にし得る同調圧力

この同調圧力に関しては心理学者のソロモン・アッシュ博士の有名な実験があります。

まず、被験者1名と複数のサクラで集団をつくります。そして1本の棒の画像を見てもらい、それと並んで提示された画像に描かれた3つの棒の中から、その1本と同じ長さの物を選んでもらいます。その長さの違いは誰が見ても明らかにわかるようになっているのですが、サクラ全員に間違った回答をさせると、12回やって1回もサクラの誤答に同調しなかった被験者はたったの25%でした。正解が明確に分かる問題であっても、周囲の回答次第では自身の回答を変化させてしまうのです。このように、人は強制されなくても「同調」してしまいます。

この実験からわかるように、同調圧力は非常に強い影響力を持っています。現在のように、社会に不安が増大、拡散すればするほど、この圧力が強くなってしまうこともあります。どんなことにも視点を変えると良い面や悪い面があるように、同調するということ自体は、人間が生きていく上で有効に働くことも多く、必ずしも悪いことではありません。しかし、何事も過剰になってしまったり、真実を歪めてしまったりすることになっては危険です。

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