演奏の「遊び」を楽しむヴルフペック 「Cory Wong」徹底考察

でのコリーとヴルフペックの出会い}--
コリーとヴルフペックのメンバーの出会いもバンカーズでのことでした。ヴルフペックのメンバーはダレン・クリスのバックバンドとしてツアーを回っていました。ここで、ダレン・クリスって誰? という方に説明すると、名作ドラマ『glee/グリー』のブレイン役の俳優で、彼は主人公のひとり、カートの恋人を演じていました。なぜヴルフペックがダレン・クリスのバックバンドをしているのかといえば、彼もまたヴルフペックと同様にミシガン大学の学生だったからです。



クリスとのツアーでミネアポリスに訪れたヴルフペックのメンバーたちは、地元で評判のバンカーズに行ってみることにします。コリーは来店したヴルフペックの一団を見てきっとミュージシャンに違いないと思い、ステージの合間に話しかけてみたそうです。これが彼らと知り合ったきっかけとのこと。2012年のことです。

「Cory Wong」のプリンスっぽさはコリーの出自から来ているのではないかと考えています。ちなみに「Cory Wong」の初出は2013年にYouTubeで公開された「TOUR VLOG 002 /// Cory Wong」という動画です。



例のごとく前置きが長くなりましたが、ライブ版の「Cory Wong」を聴いていきましょう。アルバム版の「Cory Wong」のちんまりしたロー・ボリューム・サウンドとは打って変わり、いかにもライブといった熱っぽい演奏となっております。

まずはコリーが単音のギターリフです。こうしたタイプのギターのルーツを遡るとJBを支えたギタリスト、ジミー・ノーレンに当たると思いますが、この曲のリズムはJBというより、やはりプリンスと言えます。

ここで注目すべきは、4小節目の3拍裏に入るピッチを下降させるスライド。これがまた気持ち良い。躍動そのものを音で表現したようなフレーズです。神は細部に宿ると言いますが、こういう細かい遊びにリズムのセンスが出るものです。これのタイミングが悪いと一気に野暮ったくなってしまいます。

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