楽器・作曲ソフトの売り上げ急増、コロナ隔離生活は新たなルネッサンスをもたらすか?

隔離生活によってギターを始めることにした青年(Photo by Matthew J. Lee/Globe staff)

経済の停滞を否定するかのように、アメリカではAppleの作曲ソフトGarageBandのニーズが急上昇。SweetwaterやGuitar Center、Reverb等の楽器販売店でも通販需要が急増している。隔離生活がもたらすのはベイビーブームではなく、音楽における新たなルネッサンスかもしれない。

「自宅にとどまることを余儀なくされているクリエイティブなユーザーの多くが、マイクやスピーカー、オーディオインターフェース、作曲ソフト等の宅録機材を購入しています。オーディオインターフェースの検索数は、前年と比べて303パーセント増加しています」ー Jim Tuerk(Reverbのビジネス開発責任者)

コンサート業界が急停止を余儀なくされてから数週間の間に、Appleの作曲ソフトGarageBandの検索数は55パーセント上昇した。同社によると2月初旬以降、同ソフトのアドオン「Sound Library」が約1300万ダウンロードを記録しているほか、GarageBandの有料版であるLogic Pro XおよびFinal Cut Pro Xの無償トライアル版が何十万回もダウンロードされているという。

●【動画を見る】隔離生活とツールの普及がもたらした音楽の奇跡

iOSやMac用の音楽制作ツールHypeMic等で知られるApogeeは、先月かつてない忙しさを経験したという。各種電子楽器やソフトウェアを販売するRolandも、セールスの向上について認めている。またプロデューサー向けに著作権フリーのサンプルやループ、プリセットを販売しているSpliceは本誌の取材に対し、1日に100万以上のサウンドがダウンロードされることもあると答えた。

楽器や機材を販売するReverbによると、現在の状況が始まって以来、新品と中古の両方において需要が拡大しているという。大手ブランドやローカルの楽器店、アマチュアミュージシャンから著名アーティストまで、広い範囲で売買のニーズが生まれているそうだ。

「当社には現在、毎年のホリデイシーズンを上回る量の注文が殺到しています」同社のビジネス開発部門の指揮をとるJim Tuerkはそう話す。「Reverbに出店している店の中には、3月の売上高が過去最高レベルに達したというところもあります。去年の同時期と比較すると、楽器や機材の検索数は約50パーセント増加しており、ウクレレやMIDIキーボード、ドラムマシン等に至っては100パーセント以上の上昇が見られます」

大手楽器販売店Sweetwaterでも、ウェブサイトからの通販需要が大きく拡大している。同社CEOのChuck Surackが本誌に語ったところによると、過去7日間の売上は昨年の感謝祭翌週のセールスを上回ったという。同社ウェブサイトの1日の訪問者数は、通常の約2倍にあたる50万人に達しており、現在は毎日15000〜20000件の注文を処理している。

そういったブームが巻き起こっているなか人々はどのような音楽を作っているのだろうか?

Translated by Masaaki Yoshida

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