コロナ感染した富裕層の健康法アピール、貧困層との「格差」突きつける

このブログが示すクオモ氏の理解のなさ

また、電磁波を使って自己回復力を高めると言われるPEMF(電磁パルス)マシンをウォーター ・ミルの健康用品店からレンタルした、と書いている(ある研究結果によると、PEMFは「長骨の骨折が癒着しない、あるいは癒着に時間がかかる際の治療にいくらか効果が見られるものの、治療として確立するには決定力に欠け、不十分である」としている)。この後さらに「コロナウイルスに対して(PEMFは)肺や体の回復スピードを早め」、「いつでも、どんな病気にも効果的」だと続く。多くのPEMF装置が食品医薬品局から一般健康機器として認証されているものの、医療機器の認証は受けていない。

確かにクオモ夫妻は、疑いようのない恐ろしい状況にいる。つい先日、14歳の息子マリオも現在ウイルスと戦っていることが明らかになったのだから尚更だ。それに別の状況なら、クオモ氏の投稿はただの下らないインターネットインチキで済んだ。健康業界を揶揄する連中や、その他大勢の意地の悪いネットユーザー(2015年以降もGoopの翡翠卵のジョークを面白がるような人たち)の格好の標的にしかならないはずだった。

だが、今は2015年ではない。我々がいるのは2020年、クオモ夫妻が今まさに戦っているウイルスで、5万人近いアメリカ人が命を落としている時代なのだ。その人々の大半は職場環境の安全性向上を訴える低所得のサービス業労働者で、PEMFマシンはおろか、アーユルヴェーダ食材など到底入手できない。こうした世の中で、そしてこうした状況では、クリスティーナ・クオモ氏のコロナウイルス健康法の投稿は決して笑いごとでは済まされない。自分や自分の家族が恵まれていること、この病気と戦う大半の人々の生活とは雲泥の差であることを全く理解していないのが、ありありと見て取れるからだ。

防護服と3Mのマスクに身を包んだ医者に自宅まで来てもらい、鼻炎感染症の治療でビタミン剤を点滴してもらう余裕があるのは大変結構だ。だが、ハンプトンズにあるクオモ邸から100マイルも離れていないところで、多くの医療従事者がそうした物など手に入らない状況で毎日職場に向かっていることを考えれば、そんなお言葉は下書きに留めておくべきだった、と言っても差し支えなかろう。

Translated by Akiko Kato

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