『攻殻機動隊』が世界・アニメ・サブカルチャーに与えた影響とは?

大友克洋が1988年に『AKIRA』を発表し、サイバーパンク的な世界観で近未来を描いたハードSFへの注目度が高まっていた時代、士郎正宗が原作となる漫画作品『攻殻機動隊』を制作。これを『うる星やつら』や『機動警察パトレイバー』のアニメシリーズを手掛けたことでも知られる押井守が1995年に劇場アニメ化。この記念すべきアニメ版第一弾作品『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、アメリカのビルボード誌のホームビデオ部門売上ランキング1位を獲得し、スティーヴン・スピルバーグやジェームズ・キャメロンなど世界的ビッグネームにも大絶賛され、ジャパニメーションの金字塔的作品として現在まで語り継がれることになった。なお、人類が電脳によってインターネットに直接アクセスできる設定や、現実世界と相違ないインターネット空間の世界描写、黒い画面にグリーンの文字が流れる演出などは、1999年以降に空前の世界的大ヒット映画シリーズとなった『マトリックス』のモデルとなっている。

こうしてインターネット社会の未来を描く創作物のテンプレート=グローバルスタンダードにもなった『攻殻機動隊』は、それらのインスパイア作品を牽引し続けるかのようにシリーズ化。押井守による2004年の続編『イノセンス』が日本のアニメーション初の「カンヌ国際映画祭」コンペティション部門選出作品となる快挙を達成する一方で、押井守が若手育成の為に主宰していた押井塾の塾生であった神山健治が『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(以下『攻殻S.A.C.』)シリーズを手掛け、大ヒットさせる。また、押井守の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』製作チームの一員であった、同じく弟子筋の黄瀬和哉による『攻殻機動隊 ARISE』シリーズも、主人公・草薙素子誕生や公安9課設立を描くエピソードゼロ的なアプローチで注目を集めた。さらに、2017年には、アメリカでまさかの実写化映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開。スカーレット・ヨハンソンやビートたけしの怪演は今もなお賛否両論を巻き起こしている。これらひとつひとつの作品を掘り下げて紹介したいところなのだが、今回は『攻殻S.A.C.』シリーズについて特筆したい。何故なら、今回「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」とのコラボレーションを展開している『攻殻機動隊 SAC_2045』は、このシリーズと同じく神山健治が、荒牧伸志と共に監督として手掛けているからだ。

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