家入レオがキャリアの節目で見つけた「自分の価値」とは?

「本気でこの人のために伝えたい」と思ってくれた言葉って、ちゃんと胸に刻まれる

─“今になって分かった あの日の愛が”というフレーズは、さっきおっしゃっていた「出会うものや人を大切に扱えなかった」ことへの後悔も含まれていますか?

家入:そう思います。それに私、10代の頃にも「この人の言っている言葉はすごく大事なことだ。でも今の私には理解できないから、せめて覚えておこう」と思って取っておいている「言葉のタイムカプセル」が何個かあって(笑)、それがふとした瞬間に開くんですよ。「あの時、あの人が伝えたかったのって、こういうことだったんだ」って。

──「言葉のタイムカプセル」って、とても素敵な表現ですね。

家入:「本気でこの人のために伝えたい」と思ってくれた言葉って、ちゃんと胸に刻まれるんですよね。場合によっては、その時は「拒絶」の形で示したこともあるかもしれない。感情が絡むと「なんでこんなこと言われなきゃいけないの?」みたいになってしまうこともある。でも、伝えたい気持ちがその人にちゃんとあれば、「伝わらない思い」なんて私はないと思うんです。それが明日になるかも知れないし、5年後、10年後になるかも知れない。いつ相手に伝わるか分からないけど、ちゃんと相手に伝えたいと思うことが本当の愛だと思いますね。

ただ、その愛をくださった人が、今もそばにいてくれたら「ありがとう」の気持ちも伝えられるのだけど、もう今はそばにいない人もいるので、後悔もある。そこからこの歌詞が生まれました。過去から学ぶことってたくさんあると思いますね。

─“どうして信じれないの? 変わろうとしてる 僕がねぇ いるのに”というフレーズには、「信じること」の難しさや大切さが込められていると思いました。

家入:「信じる」気持ちが相手次第で揺らいでしまうのは、「信じる」じゃなくて「信じたい」気持ちだと思うんです。ちょっとそこには計算を感じてしまって好きじゃない。

─「あなたが裏切らないなら信じる」みたいな条件付きではなく、たとえ相手が裏切ろうが「信じる」と決める。「信じる」とは、こちらの覚悟の問題なのかなと僕も思います。

家入:本当にそうですよね。私、幼なじみと1カ月海外旅行へ行ってきたんですよ。その子は去年、幕張メッセで行われたツアーファイナルに来てくれて、私が関係者の方たちにご挨拶している姿も見ていたんですけど、後日会ったときに「ライブ良かったし、とても感動した。でもライブが終わって、みんなに挨拶しているあなたの姿を見た時に胸が痛かったよ」と言われたんです。「あなたがあなたへの目を気にしないところで、思いっきり笑ったり泣いたり、怒ったりしたほうがいいと思ったから、今回の旅行に誘ったんだよね」って。それを聞いたとき、「ああ、この人は私のことを信じ抜くって決めているんだな」と思ったんですよね。それで私は「変わろう!」と決意したんです。

おっしゃるように私も「信じる」って覚悟の問題だと思うから、安易に人を信じたりしないし、逆に一度突き放されたくらいで「わかった、じゃあもう信じるのやめる」みたいなことは言わない。裏切られようが愛されようが、「この人と共に行く」と決めた人にしか「信じる」という言葉は使わないようにしていますね。

─家入さんのお友達が言っていたように、誰の目も気にせず、思いっきり笑ったり泣いたり、怒ったりするにはどうしたらいいと思いますか?

家入:うーん……「自分を知ること」じゃないかな。映画を観ながらインスタをチェックしたり、誰かと喋りながら違う誰かの返信を気にしたり、私自身も含めて「今」を生きることがおざなりになり過ぎている時代だと思うんです。それだけ情報が入ってきやすいし、そのためのツールもたくさん開発されているわけじゃないですか。それによって、本当は自分に当てはまらない情報まで集めて勝手に焦っちゃうというか。その時に立ち止まることが大切な気がする。「あの子が買ったあのブランドの洋服、本当に欲しい?」「本当は、汚れてもいい服を着て大自然に繰り出すほうが幸せなんじゃない?」って。それぞれの幸せがあっていいはずなのに、他人の幸せの基準に自分を当てはめようとするからしんどくなっちゃうんじゃないかな。

まずは自分とお喋りをする時間を作ること。「自分らしく」というと、なんだか「自分を解放する」みたいなイメージですけど、それよりも「内面に潜り込む」イメージ……。以前、自分が何を幸せと感じるのか書き出してみたことがあるんですよ。そうしたら、私って本当に些細なことでも満たされることがわかって安心したんです。「期間限定のハーゲンダッツが食べられた」「お勧めされた映画が面白かった」「オアシスの1stアルバムの曲を全て完コピした」とか(笑)。人の幸せって、本当に人それぞれだと思いますね。

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