Kan Sanoが語るコロナ時代の表現と暮らし「音楽と生活、政治が地続きなのは間違いない」

Kan Sano、自宅で撮影


origamiの根底にある「共存共栄」の精神

―あと、参加型の企画と言えば「origami Home Sessions」が話題になってますね。origamiのアクションはものすごく早かったし、さっきの話でいうスピード感やパッションが、他のどのレーベルよりも遥かにすごかった。

Sano:あれは社長の対馬さんのアイデアなんですけど、こういう状況になったときにいろいろ考えていたっぽくて。その話をレーベルのみんなにしてから数日後にはスタートさせてましたね。対馬さんは自分たちの持っているスキルやメリットを、みんなとシェアすることをためらわないんですよね。持ってるものを広めたいしシェアしたいタイプの人なので、ああいう発想に繋がるんですかね。

―origamiのミュージシャンは音源素材を提供してるわけですけど、あの音源はどういうものですか?

Sano:他のメンバーはわからないけど、僕のはアルバム用にもともと作ってたトラックです。新たに作っても良かったんですけど、たまたまいいトラックがあって、コラボに使いやすいかなってところで、それをそのまま使いました。



―その音源を使って曲を作ってる人がたくさんいると思うけど、チェックしてます?

Sano:めっちゃしてますよ。SUKISHAさんのとか、すごいかっこよかった。あと、TOSHIKI HAYASHI(%C)ってビートメイカーが作ったやつとか、プロのミュージシャンも参加しているので、クオリティ高いのがいっぱいありますよ。



―その後、対馬さんは自分の資産2000万円を投じて、音楽関係者に向けたドネーション「White Teeth Donation」を立ち上げたわけですが。

Sano:あれも一応、事前に報告というか、こういうことをやろうと思っているってのは聞きましたよ。

―その話を聞いたときにどう思いました? みんな驚いたし、普通じゃないことですよね。

Sano:対馬さんのなかで考えがあって、何年も前からお金をずっと貯めてきたみたいで。それでコロナのことがあって、「今だ!」って思い立ったんでしょうね。

―へー、何年も前から考えていたことなんですね。

Sano:だと思いますよ。対馬さんは常に音楽シーン全体のことを考えている人だし、この業界では珍しくミュージシャン・ファーストな人なので、僕やレーベルのアーティストは恵まれてると思います。こういう状況になっても一応仕事はあるし、困ることはないだろうっていう妙な安心感があるんですよね。

―こういう非常時に安心感を感じられるレーベルって、アーティストにとっては有難みが違いますね。

Sano:そうなんですよね。2011年の震災の前後辺りに、origamiも僕も崖っぷちでやっていて、そのときの経験があるので。今も楽ではないんですけど、どん底を乗り越えてやってきた感覚があるから、スタッフもアーティストもタフになってると思うんですよね。全然仕事がなかった頃を経験しているので。

―ちなみに今、こういう状況でも仕事を回せているのはなぜでしょう?

Sano:うちのレーベルにいるアーティストは、楽曲提供やプロデュース系の仕事とライブの仕事の両方をやっているんですけど、収入のメインはどちらかというとプロデュース系なので、こういう状況になっても割と大丈夫なんですよね。みんな制作は続けられているので。

―origamiのアーティストは演奏もできるし、プロデュースもできるし、一人で全部できるタイプのアーティストばかりですよね。

Sano:そうそう。みんな自分ひとりで全部できてしまうので、こういうときでも自宅で完結できちゃう。それは大きな強みですね。



―逆にいえば、対馬さんや所属アーティストの皆さんが、長い時間をかけてそういう体制を整えてきた成果とも言えますよね。そして、対馬さんのシェアしたいという気持ちと、震災時の辛い状況を経験していることが、困ってる同業者を助けようという動きに繋がっていると。

Sano:同じミュージシャンでも、演奏の仕事をメインでやってる人たちは(ライブができなくなってから)大変なことになっていて。僕がライブするときにサポートしてくれる仲間たちも含めて、そういうミュージシャンが周りにたくさんいるなかで、自分たちはまだ仕事が回せてる方なので、彼らのために動いていきたいって気持ちは、対馬さんにも僕にもありますね。

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