バイデン氏の性的暴行疑惑についてわかっていること

2020年3月12日、デラウェア州ウィルミントンで演説する大統領選民主党候補のジョー・バイデン元副大統領 (Photo by Matt Rourke/AP/Shutterstock)

米大統領選まで約半年、民主党候補指名を確実にしたジョー・バイデン前副大統領について、27年前に性的暴行をしたとする疑惑が浮上。バイデン氏側は否定しているが、現在公表されている疑惑関連の証拠を検証してみる。

1993年、28歳のタラ・リード氏は、アメリカ合衆国上院議員ジョー・バイデン氏の事務所の若手職員だった。リード氏の告発によれば、バイデン氏は彼女を壁に押し付け、スカートの中に手を入れ指を挿入した。本人曰く、暴行を受けたのは連邦議会議事堂からほど近い、オフィス街のビルの廊下だった。その後、ロード氏は上院議会人事部に苦情を申し立てたが、その後バイデン氏の事務所をクビになった。

2019年、バイデン氏が大統領選出馬への準備を進めていたとき、リード氏をはじめ6人の女性が名乗り出て、バイデン氏から不適切な身体接触や職場における性的ハラスメントを受けたと主張した。当初、リード氏は性的暴行については言及していなかったが、今年初め、リード氏は改めて性的暴行を主張し、ワシントンD.C.警察に正式に被害届を出した。

バイデン陣営は何度もリード氏の主張を強く否定した。疑惑について初めてインタビューに応じた際、問題の暴行が起きた事実はないとバイデン氏は述べた。「事実ではありません」と同氏は金曜日、MSNBCとのインタビューで語った。「はっきり申し上げます。そのようなことは、決して、決してありませんでした」 またこの件に関する声明も発表し、こうした主張には「耳を傾け、黙らせるべきではない」としながらも、「然るべき取り調べと調査を行う」べきだとも述べた。

ローリングストーン誌は現在公表されている疑惑関連の証拠を検証した。以下、バイデン氏に対する告発の内容と時期、リード氏と話をした人々の証言、バイデン陣営の否認、そしてリード氏と一緒に働いたことのあるバイデン事務所の元職員の証言をまとめてみた。

●タラ・リード氏の当初の告発

2019年4月、今回の大統領選挙戦が始まると、リード氏は初めてバイデン氏に対する疑惑を持ち出した。彼女は北カリフォルニアの新聞ザ・ユニオン紙に、バイデン氏から不適切な身体接触を受け、働きづらい職場環境にしたと語った。

「私の肩に手を置いて、首筋に指を走らせました」と彼女は言った。「私はただ身動きせず、止めるのをじっと待っていました」

さらにリード氏は、仕事の一環でとあるイベントでのドリンク係を上司から頼まれたと主張した。自分が抜擢された理由について尋ねると、「バイデン上院議員が『私の脚を気に入り』、私が『可愛い』ので、ぜひ『イベントでのドリンク係をやってほしい』と言って来たんだそうです」 と2019年4月17日付のザ・ユニオン紙の寄稿記事で、リード氏は書いている。

リード氏が言うには、その後まもなくバイデン議員事務所から事実上強制的に辞めさせられた。彼女は1992年12月から1993年8月までの約9カ月間、バイデン氏の下で働いた。

リード氏が不適切な身体接触や劣悪な労働環境を公表すると、他にも複数の女性がバイデン氏から不快な思いをさせられた、あるいは不適切なハグや接触、頬や頭部へのキスでプライバシーを侵害されたと言った。2019年の寄稿記事の中でリード氏は「これは不適切な性的行為の話ではありません。権力乱用の話です。連邦議員が事務所の職員に恐喝や中傷、弱い者いじめなど好き放題し、こうした行為を正すどころか、権力を維持しようとしているのです」と書いている。

当時バイデン氏は、リード氏の告発に対し特にコメントしていない。社会的規範が「変化し始めており」、「パーソナルスペースの境界線が再定義された」と述べ、不適切な接触疑惑全般に対する姿勢を示した。加えて「よくわかりました。皆さんのおっしゃることを伺い、しっかり理解しました。今後はより一層注意して参ります。それが私の責任で、私はそれを果たします」と述べた。謝罪はなかった。

Translated by Akiko Kato

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