バイデン氏の性的暴行疑惑についてわかっていること

●タラ・リード氏の2度目の告発

時は変わって2020年3月。不適切な接触と職場での不適切行為でバイデン氏を非難してからほぼ1年後、リード氏はバイデン氏から性的暴行を受けたと公に告発した。3月25日、ポッドキャスターで(ローリングストーン誌のポッドキャストも担当)熱心なバーニー・サンダース議員の支持者であるケイティ・ハルパー氏によって初めて報じられた。以来リード氏は、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、AP通信、その他複数メディアとのインタビューで主張を繰り返した。

ポッドキャストでリード氏は、バイデン事務所に勤めていた頃、「議事堂近辺のどこかで」バイデン氏にジム用のバッグを届けに行ったと述べた。彼女の主張によれば、そのときバイデン氏は「私を壁に押し付け、バッグを受け取りました。私のスカートの下から手を伸ばし……指2本でした……悪夢のような出来事でした」

バイデン氏に「どこかよそに行こうか?」と尋ねられたという。彼女が押し返すと、同氏は「なんだよ、てっきり私に気があるのだと思った」と言った。そしてバイデン氏は、自分は彼女には「その気はない」と言い、肩を掴んで「君は大丈夫」と言ったそうだ。

リード氏はこの件の後、上院人事部に苦情を申し立てたが、申し立ての写しは持っていないと言う。

バイデン陣営は幾度となく疑惑を否定し、彼女の主張を真に受けてはならないという旨を民主党支持者の間に回し、「このようなことは起きていない」と述べた。だがバイデン氏本人は1カ月以上も疑惑について口を開かなかった。5月1日、同氏はMSNBCのミカ・ブレジンスキー氏とのインタビューで、リード氏が疑惑を告発する権利を支持しつつも、それらは虚偽で「実際には起きていない」と述べた。また、37年間の上院議員生活でこの手の苦情を受けたことは、自分の記憶では1度もないと加えた。


●リード氏の性的暴行説を裏付ける証拠はあるのか?

リード氏は件の暴行について、兄弟、母親、友人を含む複数の人間に語ったという。この友人は――本人の希望により匿名――事件の直後にリード氏から暴行について詳しく聞かされたと、最近複数の大手報道機関に語っている。リード氏の兄弟コリン・モルトン氏は当初、バイデン氏が肩や首を不適切に触ってくると言っていた、とワシントン・ポスト紙に語った。数日後、モルトン氏はポスト紙にメールを送り、バイデン氏が「服の中に」手を入れて来たと言っていた、と述べた。

リード氏の元隣人も、バイデン氏から暴行を受けたと彼女に聞いた、とビジネスインサイダーに語った。「暴力事件について話していたときでした」と、元隣人のリンダ・ラカス氏は言った。「私もそのような状況にあったので。色々話していたら、以前勤めていた上院議員からスカートの中に手を入れられた、と彼女が言ったんです」 リード氏が後に勤めた職場の同僚も、「D.C.にいたとき、元上司からセクハラを受けた」と彼女が語っていたと振り返っている。

さらに1993年8月11日――リード氏がバイデン事務所を辞職したまさにその月――ラリー・キング氏がCNNの番組でワシントンD.C.の文化を取り上げたとき、1人の女性が放送中に電話をかけてきた。その女性曰く、娘が著名な上院議員の事務所を辞めたばかりで、職場で「問題を抱えていた」と言った。「娘に出来る唯一の手段はマスコミに訴えることでしたが、娘は議員を尊重し、あえてそうしませんでした」と電話の女性は言い、娘は今後どうするべきかアドバイスを求めた。

電話の主の正体は確認されていなかったが、後にリード氏は、電話の女性は2016年に他界した母親の声と同一であると特定した。1993年当時のテープには、電話の女性がカリフォルニア州サンルイスオビスポ在住だと言う声が残っているが、そこはまさにリード氏の母親が当時住んでいた場所だった。

Translated by Akiko Kato

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