ウイルス感染を目的とした「コロナウイルス・パーティー」の真偽

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メジャーリーグが事実上シーズン終了となった今、アメリカ人は新たな国民的娯楽を手に入れた。ソーシャル・ディスタンシングをきちんと守らない人々をインターネットでさらし上げるのだ。

ここ最近噂されているのが「コロナウイルス・パーティー」。つまり意図的に新型コロナウイルスに感染しようとする集いは、インターネットで拡散されるために生まれたものと言えよう。ワシントン州保健局は「未感染者が新型コロナウイルス陽性患者と交流し、意図的にウイルスに感染しようという『コロナウイルス・パーティー』が報告されています。絶対にやめてください! 危険で、周りの人を入院または死に至らしめる可能性があります」とツイートした。 ツイートには保健局のジョン・ワイスマン局長の公式声明へのリンクも貼られていた。「こうした不必要な行動により、防げたはずの感染数が増加し、州の段階的な経済再開がさらに遅れることになります」

死に至るかもしれない病気にわざわざ感染するパーティーだって? 恐ろしい! トランプ大統領的な感嘆符を盛り込んでまで釘を刺し、冗談事ではないという姿勢を示した。実際、「コロナウイルス・パーティー」の話は他でもないニューヨーク・タイムズ紙ですでに報道されている。同紙の論説記事の中で、感染症学者グレタ・バウアー氏は「未感染者がウイルスに感染しようと、感染者と交流する」イベントを開催しているという「噂」について言及している。記事には、研究者もコロナウイルスへの免疫についてほとんどわかっていない点など、こうしたパーティーがよろしくない理由が列挙されていたが、そもそもこうしたパーティーが実在するという直接的な例は挙げられていなかった。

それには正当な理由がある、と都市民俗学者のベンジャミン・ラドフォード氏は言う。「コロナウイルス・パーティー」なるものは十中八九でっち上げだと。「エイズに感染しようとする“バグチェイサー”をはじめ、これまでにも登場した都市伝説の一種です」とローリングストーン誌に語った。2000年代初期、一時急増したいわゆる“バグチェイシング”パーティーは、数々のメディアで取り沙汰された。こうした噂は病気に対する「集団パニック」を煽り、その結果、裏付ける証拠がないにもかかわらず、大衆の脳裏に焼き付いて離れなくなってしまう。

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Translated by Akiko Kato

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