ノラ・ジョーンズが語る新しい挑戦、母親としての役割、孤独感を癒す音楽の力

コラボレーションから得た「新しい発見」

ーアルバム作成ではなく、コラボレーション・シングルの連続リリースというプロジェクトをやってみて、心境に変化はありましたか?

ノラ:もちろん。他の人とコラボレーションをする時って、常に心境の変化はあるわ。1カ月とか、2カ月とか、数日間いろいろな人達とスタジオに入っていただけれど、やるたびにあらゆるインスピレーションをもらっていたから。それって、常に新しい薪を火の中に入れていくような感覚。普段の時よりも、作品の仕上がりも早いし、新しい発見もいっぱいあるわ。もともと、アルバムを出すつもりはなかったのに、自然につながりがある音楽を作っていたりね。

ー『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』では固定のメンバーがいるわけではなく、合計20人以上のアーティストが参加していて、色々な音が聴けてとても面白いと思いました。アルバムを作る上で様々なセッションがあったと思いますが、コラボレーションの相手やセッションはどのように生まれていくのでしょうか。

ノラ:コラボレーションの時は大抵の場合、私が発起人ね(笑)。それぞれのアーティストに直接電話をして、空いているかどうか聞いて、私と何かコラボレーションをすることに興味を持ってくれるかどうかを確認するところから始まるの。これのいいところって、プレッシャーがそんなにないこと。いちかばちか的なところはあるんだけど、誰にもプレッシャーを与えない。もし、気に入られなければ、それでいい。ヒット・シングルを作るプレッシャーを与えるつもりもなく、ただ単に自由に誰かと音楽を作ろうとしているだけで、言ってしまえばただ楽しみたいだけ。コラボレーターにも同じように感じて欲しかったの。こうやっていろいろな人達とコラボレーションができたのは楽しかったし、こういった形でしか生まれないものもあると思う。

今回のアルバムにおいては、いろいろなアーティストとのコラボレーションもあったけど、例えばブライアン・ブレイドにはアルバムの70%ぐらいでプレイしてもらっているから、すべてがバラバラのコラージュっていうわけではなくて、固定メンバーっぽいような側面もあると思う。

ーこれまでギターをメインにしたアルバムも多く出されていますが、今回はピアノがメインなんですね。

ノラ:そうね、ほとんどピアノ・トリオで演っているの。私とドラマーとベース・プレイヤーで。ドラマーは数名起用していて、ベーシストも3人いる。やっぱり、私の音楽でピアノ・トリオが原動力になっていることは確かね。ギターに関しては、ジェフ・トゥイーディーとはシカゴで2曲だけレコーディングをしたわ。この曲は、ギターがいっぱい入っている。この2曲は唯一ギターが多く入っている曲ね。

ージェフ・トゥイーディーは前作『ビギン・アゲイン』から参加していますが、先行シングル「アイム・アライヴ」など彼との共同作業はあなたにどんな影響を及ぼしましたか?

ノラ:彼とは、もう2年ぐらい前だったかしら。1年ぐらい前だったかしら。忘れちゃったけど、一緒に3日間ぐらいスタジオにこもってレコーディングしたことがあるの。3日間で、4曲一緒に作曲して、レコーディングをした。その中から今回のアルバムにはいいヴァリエーションを与えてくれた曲が入ることになった。一緒にレコーディングしたり、プレイしたりするのは楽しかったし、彼も私に良いインスピレーションを与えてくれる一人よ。



ーちなみに、今回のアルバム作りで、一番影響を受けたアーティストはどなたでしょうか?

ノラ:おそらく今回のアルバムで一緒にスタジオに入るのを一番心待ちにしていたのは、ブライアン・ブレイドだった。彼とはツアーも一緒にしたし、そういう過程を経て、やっと、どういう音楽を彼と一緒に演奏したら一番いいのかというのがわかってきて、今回のアルバムではそういう方向性で曲を書いていった。曲作りなどにいろいろ良い影響を与えてくれる人よ。よく説明できないんだけど、彼のグルーヴ感とかが好きなの。今回のアルバムで一緒に演奏した人達はみんな楽しかったわ。でも、おそらく色んな意味でブライアン・ブレイドが一番多くアルバムに参加していると思うわ。


ブライアン・ブレイドはノラ・ジョーンズのデビューアルバム『Come Away With Me』や最新作『デイ・ブレイクス』にも参加

ーブライアン・ブレイドは世界最高峰のドラマーとして、ボブ・ディランなどの数多くのアーティストから引っ張りだこと伺っています。彼とはどうやって一緒に音楽を作っているのでしょうか。

ノラ:う〜ん、曲作りを一緒にするというよりも、とてもユニークなグルーヴを思いついてくれるの。そうするとそれをレコーディングに活かそうと思って録っておいたりする。それがとてもスペシャルな音だったりするのよね。彼は歌詞を良く聴いてくれる。音だけではなくて歌詞を聴いて、その歌詞に合わせてドラムをプレイするの。それがとても心地いいの。

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