最近のモードは「ポップ」―そして『パンクロックの奴隷』が2018年9月にリリースされました。あのミニアルバムのレコーディングはどんな感じだったんですか?寺岡:早かったよね。
藤沼:リハが2~3日で、リズム録りも2日とかそのくらいで。
―『亜無亜危異ヒストリー タブーの正体』を読むと、伸一さんの集中力がすごくて、1カ月で4曲書いてみんなに送ったとか。藤沼:うん。早く曲作らないと怒られるからさ。でも、いつも早いんですよ。ダラダラ長くやってるようなやつは、才能がないからそうなるんであってね(笑)。
寺岡:曲作りも早いし、亜無亜危異はレコーディングも早い。
藤沼:ジャッジが甘いとも言うけど(笑)。
―『パンクロックの奴隷』は、初期作品にあったメロディの明快さを取り戻しながら、サウンド的には厚みもあって、これぞ亜無亜危異!と言いたくなるミニアルバムでした。藤沼:茂が意外とメロディアスな曲が好きみたいでね。
―茂さんのなかで明るくてポップなメロディを歌いたいというのは、最近のモードなんですか? それとも昔から一貫していることですか?仲野:最近だね。もうちょっと歌詞をフィーチャーしたりしてた時期もあったけど、改めてメロディって大事だなと思ったというか。昔さ、オレたちの1枚目(『アナーキー』)とか2枚目(『’80維新』)が好きだっていうファンのやつに、「亜無亜危異は意外とポップっすよ」って言われたことがあってね。そのときはただパンクをやりたいからやってただけで、自分たちでは気づいてなかったんだけど、改めて初期の作品を聴いてみたら、「ああ、確かにポップじゃん」って思って。軽やかっていうかね。その軽やかさが、伸一が曲を作ってくれた『パンクロックの奴隷』にも出ていて、キャッチーですごくいいなと思ったし。それでまあ、今回のアルバムもそうなったんだけどね。あ、今回のアルバムの話はまだ早いか。
―あとでちゃんと聞きますね。で、そのミニアルバムを携えた「パンクロックの奴隷TOUR 2018」があって、9月16日には恵比寿リキッドルームでの公演がありました。1時間半で全28曲をぶっ放した凄まじいライブで、とりわけ僕は『パンクロックの奴隷』の曲と初期の曲との混ざり具合のよさを強く実感したんですよ。藤沼:作曲するときは意識してなかったけど、自然とそうなっちゃったというか。ライブの前に毎回、通しでリハをして、そのときに違和感がなければほぼそのメニューで本番もやるんだけど、実際、初期の曲と新曲を並べて違和感がなかったんでね。
寺岡:『パンクロックの奴隷』や今回の『パンク修理』の曲と初期の曲を並べるとポップっていうところで共通項があって、そういう意味ではTHE ROCK BAND時代とかのほうが距離があるのかなと。初期と最近の亜無亜危異の距離のほうが全然近い。
―そう思います。仲野:3枚目の『亜無亜危異都市』の次ぐらいで今回の感じを出してたらよかったのかもしれねえな。そしたらオレたち、もっと売れてたかもしれないぜ。まあわかんないけど(笑)。
―「パンクロックの奴隷TOUR 2018」の頃になるとコバンさんのドラムにも変化が見られて、よりパワフルになったのと同時に、曲によっては軽やかに叩いているように感じられるところもありました。小林:余計なことをやらなくなったんです。
藤沼:やってるじゃねえかよ!(笑)
小林:いや、自分では余計なことをやらないように、努力してるってことで。無駄なことやって躓いたりってことが前はあったんですけど、だいぶなくなりました。
寺岡:横のライン(藤沼と寺岡)は本当に無駄なことをやらなくなったんだけど。
藤沼:タテのラインがまだなあ。
仲野:なに言ってんだよ!(笑)