XTCのアンディ・パートリッジが語るコロナ感染、バンド末期の記憶、災難続きの屈折した人生

アンディの新作はどうなる?

―それとは対極的な「アイム・ザ・マン・フー・マーダード・ラヴ」についてもお話しいただけますか?

アンディ:あれはちょっとした思い付きだった。愛を擬人化してみたらどうだろう? 空に浮かぶ可愛らしいぽっちゃり顔の天使の代わりに、愛の神エロスに小さな弓と矢を持たせてみたら? 「ピューン! 命中! また1人ハートを射貫いたぜ。あいつはもうメロメロ。はっはっは!」 それでいつも思っていたんだ、「もしこのキャラが大人になったら、どんな風になるだろう?」

僕もそれなりに失恋したり、恋煩いをしたことはある。みんなそうだと思うけどね。試しに、愛というキャラクターを抹殺すると想像してみたらどうだろう? 世界は良くなるだろうか、見てみようじゃないか。みんな状況をちゃんと分かっているだろうか? 失恋や恋煩いはないほうがいい? そっちのほうが、世界は良くなっている?



―最後の質問です。今現在、新作を制作中ですか?

アンディ:残念なことに、冬の長雨で自宅のスタジオのドアがかなり歪んでね。6週間ずっと寝たきりだったもんだから、まだ修理していないんだ。あれは人生で最悪の風邪だった。今にして思えば、コロナウイルスにかかっていたんだと思う。

2月から3月にかけては、完全に使い物にならない状態だった。それに毎日大雨、大雨だろ。スタジオのドアは開かないし、納屋のドアも開かない。ようやく元気になったんで、大工を呼んだ。

すると大工はこう言うんだ、「ドアを新品に替える必要がありますね。錠も新しくしたほうがいいでしょう、こっちもいかれていますから」 つまり、仮にスタジオの中に入れても、ドアを絞められないわけさ。ロックダウンのせいで近所の人たちはみんな庭に出てるもんだから、スタジオではヘッドフォンで作業しなくちゃいけない。僕の歌声を隣近所には聴かれたくないからね。

今やっている作業は、これまで誰かのために書いてボツになった曲が何百とあるんだ。それを引っ張り出して、ちゃんと手直しして、1つの作品集にまとめようと思っている。仮タイトルは『My Failed Songwriting Career』さ。

Translated by Akiko Kato

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE