toe・山㟢廣和とカクバリズム・角張渉に聞く、ライブと新型コロナと行政の戦い

「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」が立ち上がるまで

―そんな中で、toeが発起人を務めるライブハウス支援のプロジェクト「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」が4月にスタートしたわけですが、もともと山㟢さんが支援を思い立って、最初に相談したのが角張さんだったそうですね?

角張:そうだったんですか? 嬉しい。

山㟢:角張くんと、あと何人かです。始めるにあたって、声をかけたバンドに全然賛同してもらえなかったらやる意味がないので、まずは信用している人たちに「こういうのやろうと思うんだけど、どうかな?」って一回話を聞きました。カクバリズムには好きなバンドが多いので、確実に頼むことになると思ったし、他の案件でも、音楽に関することは一回角張くんに相談するのが通例というか。僕らは一バンドマンとして、自分らでしかやってないけど、角張くんはインディシーンをちゃんと理解した上で、オーバーグラウンドのことも考えながら、何年も自分のレーベルを維持しているわけで、それは確かなアンテナを持ってるってことだと思うから。

角張:「最初に相談してくれてたんだ」っていうのを今知ったので、ありがたいですね。嬉しいです! あれで「最初だったんだ」って思ったっていうのは、山さんから話が来た時点で、「こういうシステムでやりたいんだけど」っていうのがすでにちゃんとした絵になってたからで。友達としゃべってて、「こういうのやりたいね」って言って、具現化しないまま終わることって多いけど、すでに具現化の手前の手前くらいまで来てるプロットで示してくれたので、すぐに「いいじゃないですか!」って感じ。


「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」参加バンド・ミュージシャン

角張:そもそも「ライブハウスを助けなきゃ」みたいな動きって、新代田FEVERの西村さんが、YouTubeでSuper Chatをする条件をクリアするために呼びかけたことがあったじゃないですか?

―Super Chatを利用するには「チャンネル登録者数1000人以上、過去12カ月の再生時間4000時間以上」という条件があって、西村さんが呼びかけた結果、すぐに条件をクリアしましたよね。

角張:YouTube側があの条件を今はもっと下げてくれりゃいいのにって思うんですけど、とにかくあそこで最初の一波があったわけですよね。ただ、どうしても人気商売の側面があるから、ライブハウスごとの偏りが出てしまう。そこで、使う人にとって使い勝手のいいフラットなシステムを作るっていうのは、僕じゃ絶対考えられなかったなって。うちでも仕事がなくなっちゃったスタッフさんに寄付する方法を考えたんですけど、Tシャツを売るとか、そういう直接的なアイデアしか出なくて。そういう中で声をかけてもらって、すごく助かりました。

―ECサイトを使って、寄付したいライブハウスを選べるようにしたのは、どのような考えが背景にあったのでしょうか?

山㟢:それまではクラウドファンディングとか、それこそTシャツを売ったりとか、各ライブハウスごとの窓口しかなくて、それはそれで必要だと思うけど、ライブハウスっていう業種に対して、もっと大きな形でお金を集めて、支援できないかと思ったんです。ライブハウスって固定費があるけど、少なくとも3月の時点で、国の支援はどうやら時間がかかりそうだった。僕も会社をやってるからわかるんですけど、大変なときって気持ちで応援もらうのもありがたいんですけど、何よりもホントお金が必要なんですよ。お金がないとどうにもならないから。じゃあ、横の繋がりがない業種に、僕らのバイアスができるだけかからない形で、早くお金を分配するにはどうしたらいいかっていうのを、今回サイトを作ってくれたCIDER inc.の阿部ちゃんに相談したら、STORESってECサイトを上手く使えば、まとめサイトみたいな形でできるんじゃないかってことで、今の形になりました。

Edited by Yukako Yajima

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE