toe・山㟢廣和とカクバリズム・角張渉に聞く、ライブと新型コロナと行政の戦い

toe・山㟢廣和とカクバリズム・角張渉(山㟢廣和 Photo by Takuya Nagamine)


ライブハウスも、団体・組合を作って行政と動くことが必要だったのだろうか?

―「横の繋がりがない」というお話があったように、ライブハウスには団体や組合がないから、1か所にお金を集めて、等分配することは難しかったわけですよね。この先のことを考えたときに、団体や組合の必要性についてはどうお考えですか?

山㟢:そういったものがなきゃいけないとは思わないし、実際こういうことがなかったら必要ないとも思うし。音楽に携わる人って、そもそもそういう群れ化というか、団体に所属するのは嫌な人が多いと思うんですよ。

角張:我々は特にそうですね(笑)。

山㟢:今回は西村くんが全国のライブハウスとやりとりをして、今登録が240を超えてるので、西村くん自体が組合みたいな状態になってますけど(笑)。だから、「何県にこういうライブハウスがあって、こういう窓口があって」っていうのがわかるインフラがあれば、それくらいのことでいいのかもしれない。普段から会費を集めて、みんなで集まって何かやりましょうってことはなくていいと思うけど……まあ、常に行政と一緒に動いて、ライブハウスっていう業種が保護されなきゃいけないって思わせる政治運動みたいなことをすれば、お肉券とかお魚券の話じゃないけど、結局そういうところが得するわけですよね。そういう恩恵を受けたいのであれば、団体みたいにならなきゃいけないと思うけど、でもそれはそれっていうか。そこと同じ土俵に上がっちゃうのもどうかと思うし、とりあえず今回に関しては、実際問題として支援するには不便だったってだけかな。

角張:僕は山さんがtoeの前のバンドをやってるとき、まだ10代の頃から渋谷のGIG-ANTICとか新宿のANTIKNOCKとかでスタジオライブを観てますけど、我々みたいなインディーズ音楽の出身って、誰かのオムニバスに参加するにしても、ちゃんと納得しないとゴーを出さないんですよ。toeはレーベルも自分たちでやって、どこにも属さずやってきたわけですけど、僕らも40歳を超えて、「ライブハウスに金がない」っていう急務が、自分たちのこだわりよりも上に来たんですよね。今回のタイミングは。そこで山さんが旗を振ってくれたっていうのは、ホントこだわりうんぬん言ってる場合じゃねえっていう、『あまちゃん』で言う「ダセエとか言ってんじゃねえ」みたいな、あの台詞くらいの感じで(笑)。

―わかります。今回の状況に対していち早く動いたのがtoeだったっていうのは、少なくとも長年インディシーンを見てきた人たちにとって、何かしら思うところがあっただろうなって。

角張:「こういうやり方があるんだ」って、教えてもらったんですよね。思い出野郎Aチームも自分たちでクラウドファンディングを始めたんですけど、直接ライブハウスとやりとりして話を聞いてみると、思ってた以上に大変な状況だっていうのがわかってきて、でもそれを知ったことで、バンドの中での意見も活性化していって。そういうきっかけをもらったし、今回いろんな事情で参加できなかったバンドも、認識が上がったと思うんですよね。震災のときもそうでしたけど、何となく終わって、何となく慣れてしまう。僕もそういうことはいっぱいあったし、別にミュージシャン全員に「やれ!」って言いたいわけじゃないけど……血流の弁ができるっていうか(笑)。何か引っかかりができて、それによって、次のアクションもしやすくなると思うし、そうなっていったらなって。期待も込めて。



山㟢:まあ、僕らはそもそもお礼を言われる立場でもないというか、バンドにお願いして、付き合わせちゃった部分もあると思っていて、そこに関してはとにかくありがたいなって。さっきも言ったように、今の僕らは来月くらいまで食ってく目途があって、もっと困窮してる人が目の前にいたときに、助けられる余力があるから協力しているだけというか。しかも、何となく「支援する側・される側」って見えるけど、僕はこれをやって何か損してるわけでもないし、「支援」っていう行動をしてること自体が精神的な安定剤になるというか、自分が何かをやることで助けられてる部分もあるので。ライブハウスの話をするときによく言うんだけど、演者とお客さんって分かれてなくて、一緒になってライブをやってる感覚だから、今回の支援も「する側・される側」じゃなくて、全部一緒くたなんですよね。

Edited by Yukako Yajima

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