toe・山㟢廣和とカクバリズム・角張渉に聞く、ライブと新型コロナと行政の戦い

toe・山㟢廣和とカクバリズム・角張渉(山㟢廣和 Photo by Takuya Nagamine)


ライブの配信は、現場の代替案でしかない

―ライブハウス支援の一方で、現状できることのひとつとして「ライブ配信」があると思います。ceroは3月にいち早く有料でのライブ配信を実施して、その後の広がりを生んだと言ってもいいかと思うのですが、実際にやってみて感じた可能性、あるいは課題について、どんな風にお考えですか?

角張:前の週にNUMBER GIRLとかBAD HOPとかaikoさんが無料で配信ライブをやっていて、俺らもただ延期は悔しいからライブやりたいってなったんですけど、無料配信でやるにしても、機材代とか場所代で80万くらいかかっちゃうから、「これからお金が明らかに減ってくだけなのに、そんなに払うの?」っていうのは普通にあって(笑)。もともとSAKEROCKで解散ライブをYouTubeで配信したりしてたから実際の配信制作経費もわかるし、何となく見てくれる人の数も予想がついていたのはありました。だったら、ちょうどスタッフの仲原君がZAIKOとやりとりしてたこともあって、今回は有料にして、1000円のチケットを例えば500人が買ってくれたら50万弱売り上げで、30万赤字ならまだいいでしょって感覚だったんです。ところが6000枚くらい売れて、結構なお金になってくれて。


―そこは予想外の反応だったわけですね。

角張:結局今回の支援にしてもそうなんですけど、ライブハウスの月々の売り上げには届かなくても、1万でも2万でも入ってきてるっていう事実が、ちょっとやる気にさせてくれるんですよね。うちらは3月のあの日に数百万稼いだっていう事実があるから、4月にズーンって落ち込んでも、もうちょっと頑張ろうって、キープオンできる原動力になりました。実際その後も4月にクレイジーケンバンドさんの有料配信の相談を受けて、一瞬「有料配信制作会社をやってくか!」みたいなノリだったんですけど(笑)、非常事態宣言が出て有料配信自体もそもそも延期になっちゃって。なので、非常事態宣言が明けて、「このくらいのスタッフの人数でだったら大丈夫」っていう規定がクリアになったら、やれることはあるんじゃないかと思います。

―逆に、マイナス面に関してはどうお考えですか?

角張:ツアーとかはできないですよね。例えば、磔磔を使って有料配信したいと思っても、東京から京都に行くのって、言ったら、無駄な移動費ってことになっちゃうから、そういう情緒がなくなっていくというか。あとは、スタジオとかライブハウスじゃない場所でやる人も増えるでしょうね。ただ、機材費がかかるけど。要は、外音を出さなくても、アウトのミックスを臨場感あるものにできれば、配信する場所は今後少し幅が出ていくでしょうね。

―山㟢さんはライブ配信についてはどうお考えですか?

山㟢:そもそも「ライブができないから配信でやる」っていう、代替案でしかないと思っていて。僕らがライブをやったり、観に行ったりするのは、単純に「音楽が聴きたい」っていうだけが目的じゃなくて、お客さんもライブの重要な一要素っていう特殊な空間がそこにあるから、それを体感するためにバンドをやってるっていうのもある。現状みんなライブができないから、苦肉の策として配信でライブをやっていて、それはそれで面白いコンテンツになり得ると思うけど、そもそも全然別個の話かなって。とにかく、自分はライブハウスのあの感じがなくなってほしくないっていうのが一番だから、今できるのは声を上げて、ちょっとでも足しになるように支援をするぐらいだと思ってます。

角張:下北沢SHELTERの前でちょっと話して、ビール一杯だけ飲んで、ライブ観ないで帰る、みたいな日もありますからね(笑)。もうちょっとウイルスに対する知識と対応策がわかってくれば、入口で検温すればオッケーとかになるとは思うんですけど。

山㟢:そう思うし、それを願ってます。

―おそらく最初は人数を減らす必要があって、例えば、200人キャパを100人に絞るってなったときに、今の期間でライブ配信の設備を強化しておくことで、100人以上の人にも楽しんでもらえるし、お金にもなるのかなって。「コーチェラ」にしろ「フジロック」にしろ、すでにライブ配信との相乗効果を生んでるし、ライブハウスもそうなる可能性はあると思うんですよね。もちろん、全部がそうなればいいわけじゃなくて、やりたいところがそうなれば。

角張:なるほどね。東京都でもテレワークの機材を買うお金を支援するとかありますし、ライブハウスは今キャッシュがなかったとしても、そういうのを使って買うのもアリですよね。急に競馬の話になるんですけど(笑)、佐賀競馬場の入口に除菌シャワーをつけてて、あれいいなと思って。要は、小学生がプールに入る前に塩素に入るみたいなものだと思うんですけど、ああいうの上手く使えたらなって。


山㟢:ネットで見たけど、中国の保育園だっけ? しっかりやってたね。

角張:そういうシステムが整ったライブハウスを国が見本として作ってくれたらなあ(笑)。

―異業種のやり方だったり、あとは日本より先んじて動き出すであろうアジアの他の国のライブハウスのやり方だったり、参考はいろいろあるでしょうからね。

山㟢:ある程度終息して、ライブハウスが普通に稼働できるようになったとして、これから先も感染症ってまた起こりうるわけじゃないですか? SARSとか、すでに21世紀で3回くらいウイルス感染症の流行があったわけだし。それを経験値として「また違うウイルスが出たときはこうしましょう」みたいな、セーフティーネットは今のうちに考えておくべきだなって思いますね。

角張:2030年にもう一回コロナみたいなのが来たとして、10年前のことが全然生かされてないじゃんって思いたくはないですよね。




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Edited by Yukako Yajima

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