白人警官による黒人男性暴行死、「息ができない」デモが過激化(写真ギャラリー)

米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんの死去に関し、デモが過激化Jim Mone/AP/Shutterstock

「息ができない」無抵抗の黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺されるという事件発生後、米ミネソタ州ミネアポリスでデモが過激化し、多くの人が怒りを訴えた。

米現地時間5月26日夜、ジョージ・フロイドさんが警官に殺されるという事件をきっかけに抗議者が集まるなか、全米にすっかり浸透した「息ができない」というフレーズが米中西部ミネソタ州ミネアポリスの街路に響きわたった。黒人男性のジョージ・フロイドさん(46歳)は、白人警官のデレク・ショーヴァンによって手錠をかけられた後、地面に押し倒され、数分にわたって警官の膝で首を押さえつけられた。その後、27日にフロイドさんは亡くなった。近くを通りかかった人が撮影した動画には、フロイドさんが繰り返し「息ができない」と訴える姿が録画されている。2014年に警官の暴行で死亡したエリック・ガーナーさん事件の記憶がよみがえってくる。フロイドさんが訴えるなか、傍観者は警官をなだめようとする。メディアの報道によると、フロイドさんは事件当時、コンビニエンスストアで偽の20ドル札を使用しようとしたところを拘束された。フロイドさんは丸腰だった。



フロイドさんの動画がネット上に拡散した後の警察当局の対応は迅速だった。ショーヴィンとその他3名の警官は解雇され、米連邦捜査局(FBI)は公民権に関わる事件として捜査を開始。ミネソタ州の犯罪捜査局も独自の捜査に乗り出した。こうした対応がとられる一方、27日にはフロイドさんが亡くなった現場からミネアポリス市第3所轄警察署までデモ行進が行われ、参加者は4名の警官の逮捕・起訴を強く求めた。だが、まもなくして警察署前の緊張はエスカレートした。地元紙ミネアポリス・スター・トリビューンによると、暴徒化した一部の抗議者が警察署の窓ガラスを破り、建物とパトロール用車両を襲撃。市警察はゴム弾、閃光弾、催涙ガスなどを発射して対応した。

地域社会活動家のジョン・トンプソン氏は「はっきり言おう。これは殺人だ」とミネアポリス・スター・トリビューンに語った。「私は、怒りに満ちた黒人男性というステレオタイプとして扱われたくはない——私にはその感情を抱く権利はあるのだが。私は怒っているんだ。あなたもそうじゃないのか?」


Richard Tsong-Taatarii/Star Tribune/AP

市警察とデモ隊の直接対決

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平和的に市警察に立ち向かう抗議者たち。抗議者のなかには、警察暴力に抗議するもうひとつのフレーズとして定着した「手を挙げた! だから撃つな」にならって両手を挙げる人々の姿も。

繰り返される悲劇

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2014年に警官に窒息死させられたエリック・ガーナーさん事件以来、抗議スローガンとして定着した「息ができない」というフレーズが書かれたプラカードやTシャツを掲げる人々。ガーナーさんと今回のフロイドさんの事件の恐ろしい類似性のせいか、5月26日にはこうした人々の姿が大勢見受けられた。

催涙ガス

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抗議者を追い散らそうと市警察が催涙ガスを発射しはじめても、彼らは両手を挙げながらその場に立ち続けた。

団結のあかし

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フロイドさんが亡くなった現場のコンビニエンスストアからミネアポリス市第3所轄警察署まで抗議者と活動家が平和的なデモ行進を行う傍ら、連帯感を表明する見物人たち。

ブラック・ライブス・マター

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「黒人の命は大切だ」と書かれたプラカードを掲げる抗議者たち。集まった人々の多くは、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念してマスクを着用していた。

警察署の外

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抗議者たちがミネアポリス市第3所轄警察の玄関に集まるなか、ひとりの男性が中指を突き立てる。

あるもので応急処置

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市警察が抗議者に催涙ガスを発射しはじめると、ひとりの男性は牛乳でガスによる焼けつくような痛みを癒そうとする。

正義を求める声

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フロイドさんが拘束された現場付近に集まる抗議者たち。事件の渦中にいるデレク・ショーヴァン前警官は、弁護士としてトム・ケリーを雇った。ケリーは、2016年にミネアポリス郊外で起きたフィランド・キャスティルさん射殺事件で罪に問われていたジェロニモ・ヤネズ被告の無罪を勝ち取った人物だ。

「息ができない」

Photo by Kerem Yucel/AFP/Getty Images

武力行使権限のない警官によってフロイドさんが首を締められた現場のコンビニエンスストア付近に集結した抗議者たち。「今回の虐待的および非人道的な武力の行使により、非暴力的な容疑について事情を聞かれるために拘束されていた男性の命が奪われました」とフロイドさんの遺族が弁護士として雇ったベンジャミン・クランプは述べた。

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Translated by Shoko Natori

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