中島みゆき、浜田省吾のライブ音源秘話

東日本大震災から1ヶ月で開催された「ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend"」



浜田省吾さんの「On The Road」、2011年のツアー「ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend"」からお聴きいただいております。力が入っていますね。こうして聴いてもビンビン伝わってきますね。このライブはオープニングが「J.BOY」のClubMIXで始まりまして、これが一曲目でした。

今年、折に触れ思い出すのがこのツアーなんです。ライブができないという中で、この時のことが色々と浮かんできます。2011年4月16日から2012年6月3日まで12都市、計37本のアリーナツアーでしたね。当初は年内に終わる予定だったんですけど、仙台の延期公演があって、そこにさいたまスーパーアリーナのチャリティー公演が加えられて、2012年まで行われました。初日、静岡のエコパアリーナ。東日本大震災からまだ1ヶ月ちょっとという時ですよ。3月から4月にかけてのツアーがほとんど中止あるいは延期になっていた中で、敢然とスタートした、というほどかっこよくなかった。余震と計画停電で本当に音楽ができるのか? 客席もこんな時にコンサート会場に来てもいいのだろうか? という緊張感が、やる側にも見る側もあって、お互いが身を固くして会場にいるという感じだったんです。震災から日本列島が徐々に立ち直っていくのが、同時進行で経験できるというそんなツアーでした。その雰囲気の一端をお楽しみいただこうと思っております。それでは、「反抗期」、「悲しみは雪のように」の2曲続けてお聴きください。





2011年のツアー「ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend"」。このツアーは当初35周年のツアーだったんですね。それが震災に見舞われてしまって、違う意味をもってしまった。そういうアニバーサリーツアーでしたから内容が集大成。全会場3時間40分、長い時は4時間というツアーでした。前半に1980年代の曲が並んでいて、中盤から後半が浜田さんの曲の中でも自然災害とか戦争とか、社会的なテーマを扱った曲が続いていた。そして本編のフィナーレに向かっていくという流れだったんです。震災の後に原発の事故があって、日本の海は大丈夫なんだろうか? 放射能で汚れたりしていないだろうか? というニュースが連日報道される中で、「僕と彼女と週末に」というツアータイトルにもなっている「The Last Weekend」、これが約12分歌われました。お客さんもその曲を食い入るように聴いている。こういう時だからこそやるべきなんじゃないかっていうスタッフと浜田さんの意向で行われたツアーだったんです。音楽というのはこんな風に人の心を揺するんだという忘れられないツアーでした。アンコールはセンターステージ。それまでの緊張が一気に吹き飛んでいくという、開放的な、爆発的なツアーでしたね。その中の曲をお聴きいただきます。

Rolling Stone Japan 編集部

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