シーアの「踊れるダークネス・ポップ」は2020年、いかに変容したか? 辰巳JUNKが解説

踊りやすいナンバーだが、これまでとは異なる趣に

「Together」は、童話のようなメタファーが飛び交うなか「一緒ならもっと上を目指せる」と明るくアドバイスするハッピーソングだ。踊りやすくはあるが、ふさわしい場所は、ナイトクラブと言うより子どもたちの誕生日パーティーだろう。

ホリデーアルバム『Everyday Is Christmas』をリリースしただけあり、シーアは元々明るい楽曲もこなせるソングライターだ。しかし、「キッズ向け」に寄った今回は、いろいろな意味で新境地と言っていい。じつは、「Together」は、彼女が原案・監督をつとめる映画『Music』のために書き下ろされた音楽なのだ。主人公となる自閉症の少女を(「Chandelier」ミュージックビデオにも出演した)マディー・ジーグラーが演じる程度しか情報が明かされていないため口惜しいのだが、もしかしたら、「Together」を皮切りとする『Music』の楽曲群はシーアの「ダークな作家」といったパブリックイメージをも書き換えることになるかもしれない。そして、彼女の親友であるライター、ヒレル・アロンの感想を見るに、こちらこそ真のシーア・サウンドのようだ。

“快活なその曲「Together」は、「シャンデリア」等よりもずっと彼女のパーソナリティにマッチしている。ブリッジの部分で彼女はこう歌う。「私は愛を求め、そして与えたがってる / 誰か愛を届けて お願いだから」”

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