現代のCBGB? NYの小さなライブハウスが約1300万円の支援金を集める

Saint Vitusはアーティストのためにアーティストが運営している場所

ブルックリンのグリーンポイントの北端にある地味な黒いドアに隠れたSaint Vitusは、2011年のオープン以来、パンデミックが起きる前までほぼ休まずに営業を続けてきた。ここの窮屈なバーも、収容人員の少なさも、活気のあるライブハウスの評判を高めるもので、メガデスやペンタグラムなどのメタル・レジェンドも出演しているが、ブリンク182やゾラ・ジーザスなど、メタル以外の幅広いジャンルのアーティストもライブを行なっている。特にゾラ・ジーザスなどはセットの最中に戸外に出て吹雪の中で歌った。このライブハウスはレジェンドからレジェンドに進化中のアーティストまでが集まる場所なのだ。

【動画】吹雪の中、Saint Vitusの外で路上パフォーマンスを敢行するゾラ・ジーザス

2014年、ニルヴァーナがブルックリンのバークレイズ・センターでロックの殿堂入りを果たしたあと、クリス・ノヴォセリックとデイヴ・グロールがSaint Vitusに登場し、ゲスト・ヴォーカリストにジョーン・ジェット、キム・ゴードン、セイント・ヴィンセントを迎えて、親密な空間の中でトリビュート・ライブを行なったこともあった。

救済金集めに成功した要因は、有名なアーティストとの関連は少なく(とは言え、トップ・アーティストがリターンに名を連ねたことが助けとなっている)、このクラブに対する信頼と仲間意識が大きいと、クラブの常連客と常連の出演者たちは言う。ミュージシャンのためにミュージシャンが運営しているのがこのクラブだ。事実、カスティロ自身も2つのバンドで活動している。「そもそも自分のコミュニティにいるのは端から苦労しているアーティストたちで、演奏できる場所が閉鎖されただけで大きな痛手だ」と、元デリンジャー・エスケープ・プランのリード・ギタリスト、ベン・ワイマンがローリングストーン誌に語った。「Saint Vitusも同じような存在で、アーティストのためにアーティストが運営している場所だし、相当DIYなクラブだね」と。

また、ミュージシャンのスティーヴン・ブロドスキーはローリングストーン誌にこんなメールを寄せてくれた。「このクラブはライブ音楽のホスト的存在を超えている。(ヘヴィメタルを題材にしたテレビのトーク番組の)『Two Minutes to Late Night(原題)』が始まったのもStain Vitusだ。ここではヘヴィメタル・ヨガのレッスンも行なわれるし、ゴシック系のアートやクラフトを扱うイベントも開催されるし、グルーヴィーな映画の夕べとか、元ロッカーのライターが出した本のサイン会とか、いろんなことをやっている」

Translated by Miki Nakayama

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