全米2位のケラーニ、多様なバックグラウンドから生まれる「自分を救済する」R&B

「Everybody Business」ではSNSによる誹謗中傷をテーマに

ビヨンセとコラボした「Savage」で全米1位を獲得し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのミーガン・ジー・スタリオンも「Real Hot Girl Skit」にトークで参加した。彼女の最新EP『Suga』にはケラーニも歌で参加(「Hit My Phone」)。そのお返しだろうか。一緒に共演したり、仲間意識が高いのも、この新世代のR&Bシンガーたちの特徴だ。全員で一緒にジャンルの底上げを行い、皆が大きな成功を手にしている。



「Grieving」にはジェイムス・ブレイクも参加。エレクトロニック界からヒップホップ界まで多数のアーティストから愛される彼だが、ケラーニもその1人。「とても楽しい共演だったわ。彼の大ファンだから。すごく尊敬しているわ」と賞賛を惜しまない。



アルバムに先駆けて公表された「Everybody Business」では、SNSによる誹謗中傷などをテーマに取り上げる。冒頭でも触れたセクシュアリティに関して揶揄されたり、恋人を取っ替え引っ換えしてると批判されたり、常に好奇の目で見られてきた。「この曲のテーマはインターネットよ。ネット文化について歌ってる」と彼女。会ったこともなく勝手にケラーニ像を作り上げていたり、嫌われたりといった実体験に基づいている。



本来なら今頃は「Get Me」(feat.ケラーニ)で共演したジャスティン・ビーバーの「Change Tour」に参加している予定だったが、新型コロナの影響でキャンセルに。そのツアーでは同曲のデュエットなども披露するつもりだったという。「そう、デュエットも計画していたし、私自身のステージ構想もほぼ出来上がっていたけど……。ジャスティンとはレコーディングでは別々のスタジオだったから、なおさらステージで一緒に歌いたかったのよね。あの曲って、すごくドープでしょ。最高よね」

新型コロナの影響はツアー中止のみならず、じつは本作のリリース自体も危ぶまれていたという。が、彼女はプロモーション活動やビデオ制作などを、全て自宅のガレージ内から行うことで解決。ロックダウン下でのビデオ制作は「リソースが限られていたから大変ではあったわ。撮影から編集まで全てをフォトグラファーのブリ・アリッサと2人きりで手がけたの」と語っている。

アルバムのジャケットには「隣の芝生はもっと青いのかしら?」と覗き込む彼女の後ろ姿が映し出されている。だが、じつのところは、とことんマイペース。自身にフォーカスが当てられ、彼女の体験と人生観が本作には詰まっている。「収録曲は全て私の実体験よ。これまでの人間関係を振り返っているの」と彼女。アルバムのタイトル『It Was Good Until It Wasn’t』が言わんとするのは“地獄になるまでは最高だった”ということ。何とも意味深長だ。


『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』
ケラーニ
ワーナーミュージック・ジャパン
https://Japan.lnk.to/Kehlani_IWGUIWMe

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