ダライ・ラマ14世、85歳の誕生日にデビューアルバムを発表

『Inner World』のジャケット写真

チベット仏教の精神的指導者ダライ・ラマ法王が、85歳の誕生日にあたる7月6日、真言と読経に書き下ろし楽曲を合わせたデビューアルバム『Inner World』をリリースする。全11曲収録のアルバムに先駆け、有名な仏教の経文をベースにした「Compassion」が公開された。

「Compassion」では神秘的なインストゥルメンタル満載の紛れもないニューエイジ・サウンドの流れを、ベースとドラムのグルーヴがつなぎ止め、そこにダライ・ラマ法王のゆったりした声がサンスクリット語のマントラ「オム・マニ・ペメ・フム」を読経している。

●【動画】先行公開された「Compassion」を試聴

ダライ・ラマ法王の『Inner World』制作に携わったのは、ニュージーランド出身のミュージシャン、ジュネルさんとエイブラハムさんのクーニン夫妻。AP通信によると、妻のジャネルさんが職場でのストレス解消にと、法王の教えと音楽を融合させたものがないかとインターネットで探したが見つからず、数年前ダライ・ラマ法王事務所に話を持ちかけたという。はじめは断られたものの、2015年にインドを旅行した際ダライ・ラマの助手の1人に手紙を託し、再度提案したところ、法王の承諾を得られた。

クーニンさんは法王に代わってテーマ真言のリストを用意し、アルバム用に法王との会話を録音した。収録でダライ・ラマ法王は過去七仏の真言を唱えたり、叡智や勇気、癒し、子どもたちについて語った。その後、クーニンさんは夫のエイブラハムさんとともに、法王の言葉に合わせる音楽を作曲した。

クーニンさんはダライ・ラマ法王との収録をこう振り返る。「法王があんな風にお話しされるのを聞いたことがありません。非常に興奮していらっしゃいました……実際、自ら進んで音楽の重要性について語ってくださいました。身体を前のめりにし、目を輝かせ、手を揉みしだきながら、私が人々を救うように音楽も人々を救うことができる、と(おっしゃいました)。音楽は意見の違いを超越し、人間本来の姿、善意に立ち戻らせてくれる、と」

『Inner World』には友情出演として、著名なシタール奏者アヌーシュカ・シャンカール(ラヴィ・シャンカールの娘)が「Ama La」に参加している。アルバムの純利益はNPO団体Mind and Life Instituteと、ダライ・ラマ法王がエモリー大学と共同で開発した国際教育プログラム「社会性と情動と倫理の学習プログラム(SEEL)」に贈られる。





〈『Inner World』収録曲〉

「The Buddha」(仏陀)
「One Of My Favourite Prayers」(法王お気に入りの経文)
「Compassion」(思いやり)
「Courage」(勇気)
「Ama La」(阿摩羅)
「Healing」(癒し)
「Wisdom」(叡智)
「Purification」(浄化)
「Protection」(庇護)
「Children」(子どもたち)
「Humanity」(人道)

Translated by Akiko Kato

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